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9月4日(木)次期新型NDロードスターのデザインが世界初公開! NDロードスター研究1

20149419157.jpg9月4日(木)MAZDA THANKS DAY IN JAPAN が千葉県浦安市舞浜アンフィシアターで開催

遂に次期新型NDロードスターのデザインが公開!


第一印象は格好いい!!プロポーションは吟味され、タイヤの配置される位置、Aピラーとフェンダーの関係も美しい。予想していたよりも車体はコンパクトに見え、もしかすると5ナンバーサイズかもしれない(追記:実際には1730mmの3ナンバーだった)。
ボンネット先端も低い。フロントフェイシャーは男性的デザインだが、リヤデザインを中心としたフォルムは可愛らしさがあり、ディテールは繊細。
新世代のロードスターデザインでありながらもロードスターにとって重要な『可愛いらしく、格好いい!!』が上手く表現されていて、あとはカスタマイズで自分好みへとイジれそうな予感がする。
魂動デザインの新しいチャレンジというだけあって、一見シンプルな面はコンパクトかつ伸びやかな面を生み出すため、かなりの時間をかけて熟成されたのであろう。

 

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次期新型NDマツダロードスターはグローバルに展開、販売する商品だ。現代の歩行者保護、側面衝突など世界各国の安全基準を満たしながらデザインを決定する。
そして昨今の大型化した多くの乗用車、トラックなどと世界中で一緒に街中を走る『量産スポーツカー』だ。この量産効果によって、私たちはライトウェイトFRスポーツを300万円以下程度の手頃な価格で手に入れることが可能となっていることを忘れてはならない。
ロードスターの様なライトウェイトスポーツにとっては機敏な動きのための『軽さ』と思い切りドライビングを楽しむための『コンパクトさ』が重要だが、これの実現が最も難しい。
コダワリ過ぎればボディに抑揚はなくなり、相対的にボンネットとトランクは厚みを増す。つまりセダンフォルムへと近づいていってしまうのだ。

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世界に通用する安全性、信頼性を確保した上でスポーツカーとして格好いいデザインを追い求めれば、ワイド&ロングの大型ボディになっていくのが最近のスポーツカーの傾向だが、限られたコストの中でこれらを実現すれば重く、大きくなるだろう。マツダはここにデザイン技術力で挑戦してきた。すでにアテンザ、アクセラでも実際の寸法よりもコンパクトに見せる手法には長けていたマツダだが、『このロードスターは変化球』だという。
特異なフロントデザインを可能としている最大の要因はメカニズムにある。デザインは中に収められるメカによって制約を受けるのだが、この次期新型NDロードスターはデザインを何よりも最優先している。エンジンを完全フロントミドシップとすることでサスタワーより後方に体積のあるパーツを集め、前方にラジエターやバッテリーを効率的に配置できるメリットを活かし、そこから急に折り返したボンネットラインによって低いボンネット先端を実現している。

20149419730.jpgここまで良いことばかり語ったが、不満がない訳ではない。最も残念なのはボンネット後端の厚みだ。せっかく1500ccクラスまでエンジンをダウンサイジングしたにも関わらず、これだけのボリュームがある。ストラット式フロントサスなら理解できるが、NDロードスターはボンネット高を下げられるダブルウィッシュボーン式。故にこのボンネット高はエンジンの全高が大きく関わっていると思われ、昨今の燃費競争の激化の負債が見え隠れする。最新のSKYACTIVエンジンは燃費を重視し、低回転で安定して大きなトルクを得るためにロングストローク設計でバルブ挟み角は狭い。しかもDOHCはロッカーアーム駆動、可変バルブタイミング機構と多くのパーツがビルのように高く積み上げられる。どのメーカーも同じ傾向だが、特にハイコンプなSKYACTIVはエンジン高があるようだ。もう少し低いエンジンがあれば・・・というのは贅沢な願いだろうか。人馬一体感にボンネットの見え方はとても重要な要素だと思うが、実際の走りでこのあたりを確認してみたい。全体としては厚めのサイドビューとなったNDロードスターだが、陰影の使い方が巧みな新魂動デザインがそれをあまり感じさせない。

 

 

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私は個人的な見解として、この次期新型ロードスターをRX-7でいうところの3代目RX-7(FD3S)のようなクルマと捕えている。『究極のロードスター』だ。
初代NAユーノスロードスターとNBロードスターを振り返れば、初代RX-7(SA22C)の約1000kg、約4m、約120ps程度というものに近い。
現行NCロードスターが2代目RX-7(FC3S)と同種と考えれば、ちょっとワイド化、一部アルミサスアーム、モアパワーを目指した点が共通している(ただし、5ナンバーサイズ程度に収めた)。
上記はロードスター、RX-7共に時代や条件は異なるが、筑波サーキットラップタイムが近い(それぞれ1分16秒程度と1分9秒程度)というのがとても興味深い。

そしてDの着く2台、RX-7(FD3S)とNDロードスターはどうか。FDはリアルスポーツ、究極の軽量化は徹底され、随所にアルミを使用したサスペンションはフロントダブルウィッシュボーン、リヤマルチリンク式を採用していた。エンジンはよりハイパワー化されたロータリー、ワイド化されたボディとマツダオリジナルの美しいFDのボディはその存在感から大きいと思われているが、FCより全長は短く、サイズ的にはSA22CやNAロードスターに近い。

NDロードスターはロータリー無き今、マツダを代表するスポーツカーだ。マツダ車は他の全てがFF車である中、FRを貫く、ある意味フラッグシップモデルであるとも言えるだろう。またロードスターはパワーの魅力よりも軽さとコンパクトさの魅力を追求してきたモデルだ。今回は更にそこにコストを掛けて徹底的に磨きをかけた。マツダはNDをブランドアイコンと呼んでいる。つまりマツダのイメージを牽引する役目も背負った初めてのロードスターなのだ。それもそのはず、マツダは全車に『人馬一体』のコンセプトを波及させており、今やロードスターはマツダにとって、とても重要な存在へと成長を遂げたのだ。今は『ロータリーのマツダ』ではなく、『ロードスターのマツダ』である。
歴代ロードスターはバブルの産物ではなく、NA、NB、NCのいずれも苦境の中、なんとか開発され、生み出されてきた経緯があるが、マツダ販売好調の今回は『歴代最もコストをかけて開発したロードスター』なのだ。それだけでもワクワクしてくるが、『彼らの理想とする究極のロードスター』を実現している可能性は非常に高い。コストさえ掛ければ必ずしも良いものが出来るわけではないが、FD3Sが生まれた時のようにマツダが今ある技術を注ぎ込んで、本気の自信作としてNDロードスターを仕上げてきているのは間違いなく、こんな時代のタイミングは滅多に訪れない。

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世界中にたくさんのファンを持つロードスター。ロードスターファンの目はそれほど甘くはない。それぞれが描く理想のロードスターは様々だ。多種多様なユーザーに対して、マツダはいったいどんな回答を用意してくるのかとても興味深い。
シャシーは観た、デザインも観た。あとは乗って走ってどうか?そして価格は?発売時期は?
なんとも興味津々な新型NDロードスター。
歴史的な1台となってほしいと願うばかりだ。

自動車研究家
出来 利弘

当日の動画

https://www.youtube.com/watch?v=ED52tzWmidA&feature=youtu.be

 

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