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初代ユーノスロードスター(NA)発表時を振り返る

ダイレクト感とシンプルさが魅力の初代

1989年に登場した初代ユーノスロードスター(NA)のコンセプトは単純明快。『見て楽しく、乗って楽しく、さらに操る楽しさのあるクルマ』と開発主査である平井敏彦氏は語った。そのためにFRオープン2シーターをきちんと作る!必要のないものは削ぎ落とし、クルマの本質を磨き上げていく。どう実現すれば良いかをデザイナーはじめみんなで話合い、『デザインよりもレイアウトを優先する』設計思想で開発。欲をかかず、大切にしたのは4つのみ、『タイト感』『ダイレクト感』『走り感』そして『ドライバーとクルマとのコミュニケーション』の追求であった。

市場の声を取り入れるマーケティングリサーチを一切行わない開発姿勢がシンプルで骨太なライトウェイトスポーツカーを生み出し、発売直後から老若男女問わず、世界中で一躍大人気となった。

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エクステリアデザインはシンプルで可愛らしさと格好良さをが半々なイメージ。マイカ、メタリック全盛の時代であったが、赤、青、黄色などソリッドカラーもよく似合う。
インテリアデザインは簡潔で無駄のない日本の『茶室』に通づる『マイナスの美』と呼ばれる日本の美学だ。

走りはもちろん、雨漏りの心配なく、手軽に手頃な金額で楽しめるオープンカーとしてもこの初代ユーノスロードスターが果たした役割は大きい。ビニール幌仕様のみでオプションでDHT(デタッチャブルハードトップ)が用意されていた。

 

カスタマイズの大きな可能性を感じるクルマ

『開発者たち自らが買いたいクルマ』だからコストを下げたい。当初より100万円台の車両価格設定を狙っていたためインテリアはかなり安く仕立てられていた。それでもエンジンはファミリア流用とはいえ、4バルブ DOHCの1600ccで120PS、4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、P.P.F.(パワープラントフレーム)の採用など基本性能に関わる部分はしっかりと作られ、ベース車で170万円(税別)を実現していた。これらサスペンション関係のアイデアは後に開発主査となる貴島孝雄氏によるもの。

初代ユーノスロードスター(NA)発売時のラインナップはとてもシンプルだ。エンジンはDOHC1600ccのB6で5MTのみ、ベース車とスペシャルパッケージ車(パワーステアリング、パワーウインド、MOMO製ステアリング、14インチアルミホイール付きで185万円)だった。後にAT、本革シートとタンの内装のVスペシャル、スポーツ装備を標準化したSスペシャル、様々な限定車など追加されて行くが、最初にいきなり多数のグレードが用意されていなかったことで『シンプルで明快なコンセプト』がストレートに伝わった。

ユーノスの走りは、可変吸気機構を一切持たない素直にレスポンスするDOHCエンジンと少しショートで最適なギヤレシオで持ち良い走りのリズム感があった。剛性感の高いブレーキで荷重移動は容易。これまたレスポンスに優れるステアリングを切れば、それまで多くの国産スポーツでは体感できなかったクイックな回頭性を示し、全幅1670mmというコンパクトなボディと相まってワインディングを『これぞライトウェイトFRスポーツ!』という走りで、いつまでも走っていたくなる衝動に駆られた。この走りの味付けは、往年のブリディッシュライトウェイトスポーツカーにも精通し、後にM2 1001も開発する立花啓毅氏を中心とする実研部メンバーによってセッティングされた。

『使い手が考え、それぞれの使い方をする』
安価でシンプルであるが故に。ユーザーが購入後に自分の個性を自由自在に表現したユーノスロードスターを多く見かけらるようになり、街の景色は活気に満ちていた。その存在はハイクオリティデザイン指向に走っていた1989年前後のスポーツカー達とは一線を画すもの。「もし私がユーノスを買ったら、サスペンションをどれにしようか、シートは?ハンドルは?」と妄想が膨らんだ。ユーノスファン達は皆、このクルマをドライブしていない時でさえも日常を忘れ、自分のクルマのカスタマイズ妄想してワクワク、その新鮮な感覚に夢中となった。

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写真はMX-5 MIata登場時にいきなりアメリカで展示され、衝撃をあたえてCLUB RACER。
ラインナップにないイエローのボディカラーとワイドボディ、インチアップ&ローダウン、エアロパーツ、小型ドアミラー、トノカバー、固定式ライトなど、このクルマがいかに自由で大きな可能性を秘めているのかを上手く表現していた。このようにアメリカ風の他にもイギリス風、イタリア風、旧車風、などなど安価でシンプルであるため様々な仕様にカスタマイズが可能だった。

 

自動車研究家
出来 利弘


 

 

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