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6F クルマ研究 / 試乗レポート

⚡️SHIBATIRE(シバタイヤ)⚡️を箱根と一般道でテスト

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話題の⚡️SHIBATIRE(シバタイヤ)⚡️195/50R15 を早速、TD-1001R(NB6C)に装着し、一般道から箱根でテストしてきたのでインプレッションを書いた。

⚡️SHIBATIRE(シバタイヤ)⚡️はR31スカイラインショップとして有名なR31HOUSEの柴田自動車が中国のタイヤメーカーRYDANZ(レイダン)とのコラボレーションで製作したオリジナルラジアル(一般道走行用)タイヤだ。「安くて高性能で見た目も格好いいタイヤを供給して、走るのが大好きな人たちの役に立ちたい」という想いに共感し、ディーテクニックのオンラインショップ『SHOPPINGビル』でも取り扱いを開始したところ、想像を遥かに超えた反響と販売数を記録し、大ブレイク中のタイヤだ。値段の安さも重要だが、ドリフトでしっかりテストを繰り返したタイヤなのでコントロール性の良さ、安全性については十分なものがあるだろうということ、最新のタイヤはNA/NBロードスターにとってはオーバーグリップでマッチングが今ひとつであったことなどから、「これはロードスターにジャストフィットするタイヤなのではないか」とピンと来たからだ。しかもコンパウンドは180(ハイグリップ)、240(スポーツ)、360(コンフォート)の3種類から選択できるというユニークな商品ラインナップとなっている。Sタイヤではなく、一般ラジアルでこういった選択ができるのはありがたいし、自分のクルマのパワーや足回り、走るステージに合わせてチョイスできる楽しみがある。タイヤが安いので失敗してもすぐに他を試せる。これは実に面白く、「自分だけのマシン」作りにワクワクする。

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今回のテストで使用したのは195/50R15サイズ、180コンパウンド(ハイグリップ)。使用したホイールはRAYS製ボルクレーシングCE28N 7J×15インセット+28、サスペンションは3月26日発売予定のディーテクニックオリジナル車高調サスキット(ENDLESS FUNCTION をベースにPCRでチューニングし、1台ごとに合わせてオーダーメイドでセッティングするもの。こちらの詳細はまた後日にレポートする)。

まずタイヤを組んでわかることはタイヤが軽量でサイドウォール部が柔らかめだということ。重量は同サイズのダンロップディレッツァZⅢとほぼ同等だった。サイドの感触はちょうど10年以上前の国産ハイグリップタイヤを彷彿とさせるもので案の定、空気圧は高めに入れてちょうどロードスターとマッチングする感じだった。

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近年のハイグリップタイヤはタイヤの剛性が高いのは良いのだが車両重量がもっとあるクルマに合わせて設計されているためか、ロードスターやヴィッツなど軽量なクルマで一般道やサーキットで走ろうとすると異常に低めの空気圧に設定しないとサイド部が動いてくれず、接地面積も少なくなってしまうため、その性能が上手く発揮できなかった。そこに登場したシバタイヤは昔ながらの空気圧設定でベストとなりそうなので、TD-1001Rはもちろん、ロードスターなどのライトウェイトスポーツカーとのマッチングが良さそうだ。具体的には2.1〜2.3kgf/㎠前後でとても乗り心地がよく、ワインディングでも乗りやすかった

タイヤのキャラクターとしては切り始めからシャープに応答して、軽快感があるが、2.3kgf/㎠で高速直進安定性はしっかりとしており、シビアすぎると感じることはなかった。パターンノイズはやや大きめだが、許容範囲だ。長時間の高速道路走行でも国産ハイグリップタイヤと比較しても違和感なく、むしろ乗り心地はあたりが柔らかで快適に感じられた。180コンパウンドはブレーキ性能、ウェット性能ともに問題ないどころかとても安心感があり、オールマイティに使えそうだ。

ワインディングに入ってくると楽しさで思わず笑みが溢れてしまった。「人馬一体で意のままに走れる感覚がとにかく楽しい!」少なくとも『ロードスターで運転の練習用』として今、現在最適なタイヤとしてお勧めできる。ブレーキングからターンインでは素直に回頭するが荷重移動の量を変えるとそれによって上手くいったり、いかなかったりした際に違いがはっきりと出て、ドライバーに正しいドライビングを要求すること。それはしっかりとしたグリップの中で安全に楽しめる。ややオーバースピード気味にコーナーに入ればアンダーステア気味になり、そこからステアリングを切り足せばフロントタイヤがきちんと潰れ、ブレーキを緩めるとしっかり内側に向きが変わる。リヤタイヤも適正なアクセルワークで立ち上がれば綺麗に走り、開け過ぎればタイヤが倒れ込み、テールスライドが始まる。ドリフトで鍛えられたタイヤだけあって唐突ではなく、ジワジワとタイヤがスライドするのでコントロールが実にしやすい。ギャップのある路面で跳ねるような場面でもしなやかに凹凸を吸収するし、アクセルOFFでのタックインもハッキリと出る。S字で右左右と連続して切り返していくような場面でもステアリングに対する応答は適度にシャープで切れ味鋭い。舵角が大きくなりマッタリしたような動きにはならないし、最近のハイグリップタイヤのように構造が硬すぎて、トレッドゴムだけで走って磨耗が早そうなフィーリングもなかった。

 

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この日、一緒に持ち込んだマツダロードスター1800RS(NB8C)も同じディーテクニック車高調を装着しており、タイヤは205/45R16のダンロップディレッツァZⅢを装着していたが交互に乗り換えても一長一短あるものの、グリップ感や安定感は酷似しており、違和感がほとんどなかった。

 

『第一印象として、シバタイヤとNA/NBロードスターとのマッチングはかなり良さそうだ。』
軽快感、シャープさ、挙動変化の確かさといった点ではとても分かりやすいので練習にも最適。しかも価格が安い

まだまだ未完成な部分もあるが、そこが魅力とも言えるシバタイヤ。タイヤの進化も大事だが、それ以上に大切な『ドライバーの進化』のためにこのままの性能で、このままの価格で出来るだけ長く作り続けて欲しいタイヤだ。

 

 

<サイズ、コンパウンドの追加>

1970年代、80年代を中心とする旧車用タイヤサイズが次々と各タイヤメーカーのラインナップから落ちて、絶版となっている現状から、それらのサイズを設定し始めたシバタイヤだが、ロードスターとのマッチングの良さからTD-1001Rにも採用している205/45R16サイズの追加をお願いした。NDロードスターNR-Aなどで楽しむ195/50R16サイズの追加が決定している。これらは新たに金型を起こし、2021年夏頃に発売予定だ。

現状は185/60R14195/50R15がロードスターに適合する。

またコンパウンドについて追加があり、180、240、280、380、440と5種類になった。今回テストした180も良いが、240と380、その中間となる280あたりもロードスターとのマッチングがどうなのか、気になるところだ。

今後もサーキット、その他でサイズ、コンパウンドの違いなどテストし、感じたことをレポートしていきたい。

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『⚡️SHIBATIRE(シバタイヤ)⚡️』にラインナップされているNA/NBロードスター用は『ディーテクニックSHOPPINGビル』で販売中。

 

⚡️SHIBATIRE⚡️ 195/50R15 をSHOPPINGページに追加しました

https://www.d-technique.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=82

 

新型フェアレディZ(Z35)のデザイン研究

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新型フェアレディZ(Z35)プロトタイプが2020年9月16日発表となった。

9月17日から10月4日までニッサン・パビリオンに実車が展示されている。日産本社グローバルギャラリーのすぐ近くなので、行ってみてはいかがでしょうか。時代を反映した、クルマ好き、日産ファン、様々な人にとって12年ぶりのフルモデルチェンジ、新型フェアレディZ(Z35)一見の価値あり。

 

 

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サイドビューではフロントフェンダーからのキャラクターラインが緩やかにリヤタイヤに向かって落ちていき、逆にサイドステップ部が強く絞り込まれ、ウェッジシェイプとなるので、ティアドロップ系デザインとなっているが、それに繋がるリヤフェンダーが立体的に盛り上がり、上面はウェッジシェイプで跳ね上げられ、筋肉質で男性的。ハイパワーFR車であることを意識させる流麗なデザインだ。S30Zを彷彿とさせるデザインだが、並べてみるとまるで違うのが面白い。
全長4382mm、全幅1850mm、全校1310mmと発表された

 

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中央が盛り上がり、ネガ面に見えるボンネットフード。オープニングラインをここに入れてライトまで綺麗に繋げるためにはフロントフェンダーの高いプレス製造技術が要求されるはず。
エンジンは日産製V6 3000ccターボで400Rに使用されている400PS仕様、6速マニュアルと予想される
 

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リヤデザインはZであることを意識させながら、未来的であり、丸みの中にも昭和時代を彷彿とさせる角ばったエッジを効かせた独特なもの。

まるでIPhoneの画面のようにブラックアウトされたルーフは一見どこがリヤガラスなのかわかならいほど巧みにデザインされている。刀をイメージしたというアルミ調のシルバーのラインも細部までデザインされており、クルマが回転していくときの光り方はまるで本物の刀のようにシャープに見える。

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S30Zを彷彿とさせる復刻エンブレムがリヤゲートに同じく斜めに刻まれ、テールランプはZ32に通づる横長のデザインがLEDで再現されている

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CピラーにはZエンブレムも誇らしげに光る

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大胆なカーボンディフューザーもセンス良くまとめられ、400Rと同様のテールフィニッシャーが見える

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タイヤ前 255/40R19、後 285/35R19と発表された

エッジが効いたスポークの細い純正ホイールに日産の気迫を感じる。

NISSANエンブレムが控えめに小さいのも質感を向上させている。

タイヤを包み込むように下部まで回り込むフェンダーラインもZのボディデザインの質感を向上させている。

この数ミリの延長は量産車ではなかなか実現できるものだはない。

フロントフェンダーの垂直面の折り返しはリヤより狭く、後方へのボカシが上手い。1990年代の名車たちを彷彿とさせる処理でその上面のRの処理に自信がなければ実現できない。

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フロントには「Z」のロゴ入り6potキャリパーが見える。
因みにイエローは高温にさらされても最も退色が少ない色だ。

ホイールスポークは真横から見ると細いがこのように上から見ると断面はかなり厚みがある。是非、このまま製造してほしいホイールだ。

 

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このくちばしのようなフロントマスク、S30Zを彷彿とさせるものであり、リップはZ34、頬はZ33にも通ずると様々な世代のZファンに親しみを感じさせる不思議なデザインだ。
 

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新型フェアレディZ(Z35)とても興味深いモデルチェンジであり、市場の反応に注目したい。

「昔のように原点回帰したデザインにしてほしい」「ヘリテージを感じながらも新しさを織り込んだデザインにしてほしい」よくユーザー側から聞かれる意見であるが、メーカーは常にそのクルマの『未来』を観て、ユーザーの一歩先を行くデザインを提案していかなければすぐに陳腐化してしまう。しかし、ユーザーが求める二歩先を行く先進的すぎるデザインを採用すれば、理解されずに受け入れられない。

電気自動車時代に向けて邁進し、プロパイロットをはじめとして自動運転技術に積極的な日産自動車が、これほどまでにノスタルジックでコンベンショナルな車両を出してきたことは実に興味深い。これを出せるのも50周年、フェアレディZの類い希なるスポーツカーとしての歴史があってこそ出来ることであるし、これまで筆者自身も望んできたものであるが現実となった実車を見てみると、色々と複雑な思いを抱く自分にも嘘がつけない。

非常にブレーンで購入後にユーザー、チューナーがカスタマイズできる余地も上手く残されているクルマだけに車両価格がリーズナブルなものであれば86/BRZか場合によってはそれ以上に盛り上がりをみせるかもしれない。とても期待しているし、私自身も欲しい!と思う要素を多く含んだモデルとなりそうだ。しかしそれは「Z33かZ34を買ってみようかな」と思っていた自分であって、もしS30からZ32までの歴代Zを所有していたら、それを手放してまで欲しいほどの吸引力を持つか?と言われれば、乗って、走ってみるまではなんとも言えない。

現状ではあちこちにS30からZ32のテイストが入っているがゆえに「それを超えていないのではないか」と感じてしまうのだ。乗って、走れば、目の覚めるような驚きと一体感、イイ物感に溢れ、「オレは(私は)Zに乗っているんだ」というブランド感がひしひしと伝わってくるものかもしれない。信じられないほどのエンジンレスポンスとパワー感、意のままのハンドリングと乗り心地がそうさせてくれるかもしれない。それを感じて初めて、コイツ1台で行こう!と思え、S30Zの再来、あるいはZ32の再来となるだろう。やはりスポーツカーは走ってみないとわからない。

想像を超えた『技術の日産』の走りに期待して、じっと待ちたい。

 

自動車研究家
出来利弘

 

ホンダ ハンターカブ CT125を研究

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ホンダ ハンターカブ CT125(2BJ-JA55)を購入したので試乗前に研究。 今から注文だと少し 納期 がかかるようです。

Honda New Cub CT125
 
2020年6月26日発売の『CT125・ハンターカブ』をグローイングレッド車両本体価格44万円(税込)(税抜き40万円)。 4輪自動車で言えば、スズキジムニーのような立ち位置でしょうか。本格的な悪路走行を想定しながらも街乗りでも取り回し易く、乗り心地も良いのが特徴です。歴史を大切にし、古き佳き時代のデザインを取り入れながら、最新の快適安全装備を最小限採用し、機能美溢れるデザインを実現しています。
 
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サイズは全長/全幅/全高=1960mm/805mm/1085mmとコンパクト
 
 
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最低地上高165mmと高めなので気を使わずに段差を乗り越えられる。エンジンアンダーガードもガッチリとした質感の高い作りだ。
 
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燃費はWMTCモードで67.2km/ℓ、燃料タンクは5.3ℓの大容量となっているので長距離も安心
 
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エンジンはJA55E型 124cc、空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒、ボア×ストローク=52.4mm×57.9mmでややロングストローク、圧縮比は9.3だ。最高出力8.8ps/7000rpm、11N・m(1.1kgf・m)/4500rpm、エンジン特性は低中速域のトルクをしっかりと出ており、車両重量120kgだが4段変速となっているので街中での加速力は十分だ。長距離ツーリングでもエンジン回転数が抑えられ、楽に走れる
 
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チェーンはオープンタイプで伸びが少なく、しっかりとした高品質なものが奢られている
 
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節度感のある4速のロータリー式ギヤは1速/2速/3速/4速=2.500/1.550/1.150/0.923となっており、ファイナルギアは1次/2次=3.350/2.785となっている
 
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最新のバイクらしく、ヘッドライトはもちろん、テールランプ、ウインカーなどLED化。デジタル式メーターはスピード表示の他、トリップメーターや燃料残量も表示する。エンジンは電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)採用によってクリーンな排気ガスと低燃費を両立
 
 
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エンジンスタートはセルフ式モーターに加え、キック式スターターを併設している
 
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センタースタンド、サイドスタンド共に備え、二人乗り用の折りたたみタンデムステップ(足置き)も備える

 

 
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リヤディスクブレーキはφ190mm

 

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フロントブレーキディスクはφ220mm
前後ディスクブレーキでフロントは1チャンネルABS(アンチロックブレーキシステム)を標準装備(二輪新車は義務化)し、制動性能と安全性を大幅に向上させている
 

 

 

 

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フロントはテレスコピック式でキャスター角27度、トレール80mm。飛び石による傷防止のジャバラがしっかりと装着されている

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リヤサスペンションはスイングアーム式で前後ダンパー、スプリング共にしなやかでストローク感が良い

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ワイヤースポークホイールが嬉しい。タイヤはIRC製 GP-5。細身でオンロード/オフロード共に走れそうなパターンだ。

サイズは前後ともに80/90-17M/C 44P

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マフラーと吸気ダクトは上部に設置されており、川や水たまりを通過する際にも水や砂を吸い込まないようデザインされている

 

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剛性感溢れるバックボーンフレーム形式。C125用をベースに悪路走行に備えて各部が補強されている。

見た目も適度にシャープなデザインなのがいい

 

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昔ながらのホンダのエンブレムを装備し、オリジナルキーにもしっかり同様のエンブレムを埋め込む

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滑りにくい素材で厚めのシートクッションは長時間走行でも快適だ。

シート下に収まるガソリン給油口へはシート左下のキーを回すことで行える。 このキーでしっかりとロックされていることで、悪路でもシートが横ずれしない剛性感があるのが嬉しい。 シート高は800mmで足付き性も問題なく、立ち乗りもしやすい絶妙な設定を狙っている

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縦477mm×幅409mmのガッチリとした大型キャリアを装備。パーツ装着もしやすそうなタップも切ってある

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ミラーの位置もよく、後方視界も良い

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ハンドルバー位置は高めで自然な姿勢でドライブできる。メーターが低めに設置されており、前方の視界はすこぶる良い。 通常のネイキッドタイプから乗り換えるととても新鮮なライディング感覚だ。最小回転半径1.9mと街中での機動性も良さそうだ

 

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125cc以下バイク『原付二種』は法定速度60km/hまで出せて、二段階右折が不要ということで気軽に車の流れに乗って走れる。 税金・保険がお得で、ファミリーバイク特約も使えるので任意保険もほとんどかからない。 いざとなれば二人乗りも楽しめるなどなどメリットが多く人気がある。
車では駐車場代がとても高くて、電車でしか行けないような都心部へもこのバイクなら自転車置き場でも許されているところが多いのでスイスイと行って、格安で停められそうだ。 今から長距離ドライブ、いや街中ドライブが楽しみだ。
 
https://www.honda.co.jp/news/2020/2200320-ct125.html

新型 スープラ(GR SUPRA )17年振りの復活!米国デトロイトショーで発表

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TOYOTA GR SUPRA (新型 GR スープラ)
新型スープラ

2019年1月14日、米国デトロイトモーターショーで遂にTOYOTA GR SUPURA(A90)が発表された。

『Supra is Back』

1978年から2002年まで生産されたスープラ(当初は日本名セリカXX)が生産中止となってから、実に17年振りにスープラが帰ってくる。


2代目セリカXX(スープラ)オーナーとして3年所有している私も非常に注目しているモデルだ。

新型はTOYOTA GAZOO Racingが展開する『GR』シリーズ初のグローバルモデルとして発表された。

2007年からニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦して得たノウハウを注ぎ込み、完成されたモデルで、『GR Supra』として販売する。

日本での発売は2019年春頃を予定している。

 

国内外のメーカー広報写真で研究した。

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直列6気筒3.0ℓターボエンジンを搭載するため、ロングノーズ、ショートデッキの古典的なスポーツカーのフォルムだ。真横から見れば長いオーバーハングはややクラシカルで保守的なデザインにも見える。86の兄弟関係にあることも感じさせてくれるデザインでもある。

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しかし、大胆に絞り込まれているので、斜め7:3から見た場合、フロントから見ればリヤがショートに見えて、リヤから見ればフロントのオーバーハングが見えないというのが新しく、それほど気にならない。

 

 

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フロント前端はF-1マシンのハイノーズ&フロントウイングをイメージして、市販車に落とし込もうとしたものはこれまでも多々見られたが、GRスープラは自然にうまくまとめている。

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バンパーは上下に薄く見えるようにデザインした下にブラックのリップ&カナード一体型のエアロパーツでボディ下面のフラットパネルへとエアを導き、ダウンフォースを得ている。中央はナンバープレート左右のダクトには冷却口となっている。最新のスポーツカーらしくコーナーセンサーも埋め込まれているが、フラットタイプで目だ立たない。

 

最も衝撃的なのは新型はスープラ初の2シーターとなったことだ。
初代セリカXX(A40、A50スープラ)は5人乗り、2代目セリカXX(A60スープラ)は5人乗りで4人までならロングドライブも可能なヘッドクリアランスを持っていた。一方、3代目スープラ(A70)は5人乗りながら実質的には4名仕様、4代目スープラ(A80)、そして86(ZN6)も実質的スペース的には長時間の4名乗車が厳しい2+2であったがリヤシートによるルーフデザインの制限があった。今回はそれがなくなり、晴れて2シーターとなったことで、同じ2シーターのトヨタ2000GTに似せたルーフライン、ダブルバブルルーフとリヤサイドクォーターウインドゥの形状も様になるようになった。

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幅広なフロントからテールエンドに向かって内側へ、細く絞り込んでいくボディの上に大胆なオーバーフェンダーを被せたようなデザインは特徴的。ドアはヒンジ部の車幅はあるが、ドアアウターグリップやドアキャッチあたりの位置はボディ内側に入っているように感じられる。

 

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ドア下部にはリヤフェンダーへと自然と繋げるパネルを別部品で装着している

 

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グラマラスなリヤフェンダーと絞り込まれたボディ。ダックテールスポイラー一体型のトランクリッドはルーフから流れる風を受け止め、ダウンフォースを発生させる

 

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テールランプは内側に入り、立体的でシャープなデザイン

 

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リヤ下部の大型ディフューザー部は本格的にしっかりと作り込まれている。センターにはバックランプが埋め込まれている

 

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TOYOTAとSUPRAのエンブレムが嬉しい

 

 

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「ホイールベース」「トレッド」「重心高」に拘って作られたシャシー。
BMWと共同開発となったGRスープラの前後重量配分は50:50と理想的。サスペンションは前にダブルジョイント式ストラット/後にマルチリンクとなった。フロントがストラットとなったため、アクセルON時にはフロントロールセンターが変化し、しっかりとトラクションをかけながら、リヤを沈めてFRらしい姿勢で脱出できる。

BMW製ツインスクロールターボだ。直列6気筒ターボエンジンを搭載。同じく直列4気筒ターボエンジンもラインナップする。セリカ無き今、4気筒もスープラに搭載する。86より短いホイールベースと前後ともに長めのオーバーハングはどこか80's-90'sカーを彷彿とさせる安心感のあるデザイン。それに大胆なデザイン処理でクルマはボンネットやボディの厚みをあまり感じさせないようになっている。ボンネットはタイヤのすぐ上から大きく開くデザインとしているので、ボンネット上面にはパーテーションはない。
フロントフェンダーのダクトはフロントホイールアーチにほぼ平行している。
一見、船底形状に見えるサイドシル部はその下にサイドスカートもあり、ボディ側面からの風の流入を抑えている。Aピラーの付け根からの延長線上に綺麗にフロントタイヤの中心があり、人がリヤタイヤ近く、後ろ寄りに座流のが80スープラからの伝統。

 

 

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まるでフォーミュラカーのようにタイトに囲まれたコクピット感覚のデザイン。インパネは水平基調のシンプルデザインで質感も高い

 

 

 

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8速ATのみの設定で2ペダルだ。

 

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TOYOTA GAZOO Racing

>>> https://toyotagazooracing.com/jp/gr/supra/specs/

 

 

 

 

 




 

 

新型デミオ 15 MB 試乗 インプレッション『これぞデミオ、これぞマツダ!』

 

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新型 デミオ 15MB に 試乗したのでインプレッションを書いた。

2015年10月22日に追加発売となったマツダ デミオ15MB (1500cc ガソリン)6MT、ベース車重 1000kg、
ベース車両本体価格 150万1200円(税抜き139万円)の
市販バージョンをミニサーキット、ワインディングで試乗する機会を得た。

その走りは、全てに渡って実にデミオらしく、マツダらしい、素晴らしい仕上がりのクルマだった

 

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DEMIO 15MB 6MT ベース車両本体価格 150万1200円(税抜き139万円) DJLFS
試乗車はこれにユーティリティーパッケージ(6万円+消費税)、特別塗装色スノーフレークホワイトパールマイカ(3万円+消費税)、その他マツダスピードエアロパーツ他のオプション装着車両。

ユーティリティパッケージの内容は、5.5J×16インチアルミホイール&185/60R16 86Hタイヤ、ダークティンテッドガラス(リアドア、リアゲート)、6:4分割可倒式シートバック、CDプレイヤーの4点。
マツダスピードエアロパーツ(フロントアンダースカート、サイドアンダースカート、リアルーフスポイラー、リアアンダーガーニッシュ、ドアミラーガーニッシュ、サイドデカール(アッパー&ロア)、ホイールデカール、シャークフィンアンテナがオプション装着されていたがオプション価格は未確認。2015年12月より5.5J×16インチアルミホイール&195/55R16 87Vファルケンタイヤも6万円+消費税でオプションに加わった。 

 





デミオ15MBの走りを一言で表現するなら『これぞデミオ、これぞマツダ!』


私がイメージしていた『マツダの走り』にやっとしっくりくるクルマが出た!
デミオ15MBは走り出しから軽快で楽しさに溢れていた。

エンジンは小気味よく軽快な吹け上がり、ミッションは適切なギヤ比のステップを刻み、シャシーセッティングはドライバーの操作に機敏に反応し、FFでありながら、『NA/NBロードスターを作ったマツダらしいな』と思わずニヤニヤとしてしまった。

 

15MBはエンジンをかけ、ギヤを1速に入れて走り出す瞬間から楽しい!
『基本に忠実に作られた4気筒の内燃機関エンジンに火を入れ、クルマを走らせる』。少し大げさに言えば初めてクルマの免許を取り、自分のクルマを走らせた時のワクワク感、ドキドキ感がどこかにある。質素なエントリーモデルでありながら、クルマが伝えてくるインフォメーションは骨太でドライビングの基本をしっかりと教えてくれる。それを乗りこなそうと試行錯誤しながら走る。上手くいけば気持ち良く、失敗した時にはそれではダメだとクルマが教えてくれる。そこにドライビングの上達と喜び、出来た時の達成感がある。
こんな、ひと昔前ならば、当たり前だったことが多くの新車たちから体感できなくなって、かなりの年月が過ぎた。

『なんだ、やれば今の環境の中でもこの走りで販売できるんだ!』

なんだか、とっても嬉しくなった。ハッチバックに乗る必要があるなら今すぐ欲しいくらいだ

 




具体的にはまず、エンジンの吹けあがりが自然で良い。電制スロットルの違和感は0ではないものの最小限だ。 中身はNDロードスターと同じエンジンということだが、パワー、トルク共に発生回転数が低めの設定のためか、こちらの方が発進からトルク感があり、元気がいい。アイドリング状態から、空吹かしでNDはワンテンポおいてから鋭く吹けあがるが、15MBはほどんどタイムラグなく吹けはじめ、その後は普通。いや自然というべきか。

 

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SKYACTIV-G 1500cc ガソリン P5-VPS型 最大出力 116PS/ 6000rpm、15.1kgm/ 4000rpm


ギヤをローギヤ(1速)に入れて走り出した瞬間から、『楽しい!』

そう、マツダの4気筒エンジンに4.3ファイナルギヤの組み合わせは黄金比なのではないかと思う。今回のデミオは4.388ファイナルとややローギヤードでしかもデミオ初の6MTを採用した。歴代デミオの5MTではどうしても1〜3速のギヤ比が離れていて、トルクの落ち込みを感じたが今回はかなりクロスレシオ!しかもギヤ比が適切でかなり気持ちいい。ギヤのステップはちょうどNA/NBの5MTの感覚に近い。更にトップに6速があるから、高速実用燃費も良さそうだ。シフトフィールはFFとしては十分節度のあるものだ。
(6速のギヤ比は3.585/ 1.904/ 1,290 /0.972/ 0.795/ 0.645)

 


<シャシーセッティングは秀逸>
まず乗り心地がいい。すっきりしていて、決してゴツゴツしすぎていないし、ダンパーもしっかり仕事している感じだ。車高も少し低められているのがちょうど良い効果を出しているのかもしれない。仕様変更はないそうだが、年次改良で個体差調整が進んでいるためだという。
他のデミオも進化しているはずだ。


コーナリングするとステアリングを切った分だけ、軽快にシャープにコーナリングする。
ZOOM ZOOMを語り出した頃の初代アテンザやNBロードスターなどを思い出すシャープさがある。もちろん市販車の範囲だが、これぞマツダだ!っと感じた。ゆっくりしなやかな動きの最近のマツダが好きな人もいるのだろうが、オレはこちらの方が好みだ。これは15MBだけではもったいない。是非、普通に15スポルトも設定して、6ATモデルも設定して、多くの人に乗ってほしい。それほどに基本に忠実で実に真面目な走りとセッティングだ。



 

<15MBに乗って気分が爽快になった!>
デミオ15MBを試乗できて本当によかった。なんか胸のところでモヤモヤしていた悩みが晴れた気分だ!
クルマは肩に力が入っておらず、『普通に乗って、普通に楽しい』。

私がマツダ好きになったのは『NA/NBロードスターやデミオの小気味良い走り、この軽快感だったのか!?』と今回、改めて再確認できた。
また『運転の練習に適している』ということも大事なポイントだったのだと思う。
15MBは間違いなく『運転の練習に適しているクルマ』のひとつだと思う。


『運転の練習に適している』とはどういうことか?
それはおしゃべりの出来るクルマ。
上手乗れたら、それに応えてクルマがいい走りをして「今の運転、上手だったね」と返してくれる。

ちょっとラフに扱えば、「それは違うよ、ちゃんと乗って!」とクルマが教えてくれること。
それがあるからマツダ車がみんな好きだったのかもしれない。

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最近のマツダは確かに良くなった。誰が乗ってもどう扱ってもしなやかに加速、減速、コーナリングができるのだが、ちょっとラフに乗ってしまい、「しまった!」っと思ってもクルマがスルリとカバーしてくれる。「よし、今のは決まった!」とバッチリな走りをしてもいつもと変わらず85点コーナリングに収められてしまうのがとても気になっているのだ。一般的には誰でも乗れて良いのかもしれないが、これまで長年マツダファンだった方の中には私のように物足りなさを感じていた人もいるだろう。
「今のマツダ車は格好良いなあ」とは思いつつも「買ってチューニングしたら、自分好みにできるのだろうか!?」「時代の流れ、制御で仕方ないのか!?」といったことが、気になっていただけに、今回の15MB体験はとても有意義なものでした。


『なんだ、やれば出来るんじゃん!』

嬉しい。デミオ15MBは気持ちいい。ということはNDも同じようにチューニングできるだろうし、他の最近のマツダの新車、あるいは中古車を買ってきてもセッティングしだいで同じように・・・??これは楽しみになってきた。
あれこれと妄想が膨らむ

 

自動車研究家
出来 利弘

 

ND ロードスターNR-A 試乗インプレッション
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2015/11/nd-nr-a.php

 

 

 

NDロードスター NR-A 試乗 インプレッション『NDロードスターの本命登場!』

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新型NDロードスターNR-Aに試乗した。
(写真はNR-Aレースバージョン アークティックホワイト。ロールバー(14万9040円)、ロールバープロテクター(7992円)、けん引フック(前後各1万800円)、
ブリッド製バケットシートはオプション)

2015年5月にNDロードスター試乗記『ND新時代の到来』を書いてから4ヶ月。9月のメディア4耐レース会場で早くもNR-Aグレード追加の発表と展示があり、マツダロードスターND NR-Aを研究するを書いた。

 

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新型ND マツダロードスター NR-A(1010kg)  6MT ジェットブラックマイカ 
車両本体価格 264万6000円(税抜き245万円)

10月22日に正式発売となったNR-Aの市販バージョンを箱根のワインディングで試乗する機会を得た。
 

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NDプロトタイプに近い低めの車高にシルバーホイールが爽やかなNR-Aのサイドビュー。ボディカラーがブラックのため、ブラックアウトされたピラー、ミラー、ハイマウントストップランプカバーは目立たない。
NR-Aはビルシュタイン社製Cリング車高調整機能付きスポーツタイプダンパーを装備しており、スポーツサスペンションでバネレートもアップ。
写真の試乗車は車高を一番下まで下げた状態(約20mmダウン程度)にセッティング済み。

 

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早速NR-Aのコクピットに乗り込む。試乗車はオプションのアルカンターラが各部に張り込まれていたが、ステアリングスイッチを持たないシンプルな本革ステアリング&ウレタンシフトノブ、ブラックで統一されたエアコンリング、ドアの内側ボディ同色部もブラックのため、落ち着いた大人の雰囲気に癒される。

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ファブリックシートはS、Sスペシャルパッケージと同じもの着座位置は低めで座り心地も良好。シートの適度な質感とインパネ周りの質感に統一感があり、ロードスターらしく、ライトウェイトFRスポーツらしい

 

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ドアパネルにもオプションのアルカンターラが張られている。ノーマルはレザーステッチ入りで、プレミアムなデザイン。

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NR-Aは光りすぎないシルバーのインナードアハンドル

 

 

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セグメント液晶オーディオ ディスプレイ
AM / FMラジオ & 4スピーカーが標準装備
 

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ピアノブラックのエアコンリング

 

 

 

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標準装備マニュアルエアコン。調整リングはブラック。
エンジンスタートボタンリングもブラックだ。
USB端子、AUXミニジャックを装備。未使用時にカバー可能

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シフトブーツリング加飾は控え目なシルバー。
ウレタン製シフトノブ&サイドブレーキグリップ。
キーレスを置くのにちょうどよいBOX。
アルカンターラ・サイドブレーキブーツはオプション

 

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6MTのシフトパターンが刻まれたウレタンシフトノブ
自分の好みのシフトノブへと交換するイメージが膨らむ

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ND全車と共通の3つ目デザインメーターはセンターに回転計
MID表示は走行可能距離のみ表示。燃費計は省略

 
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細身の本革巻ステアリングは質感が高い
シンプルなステアリングスイッチのない3本スポーク形状

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握りは親指を添える部分のフィット感がいい
ステアリングベゼルは反射を抑えたシルバー

 

 

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オプションのアルカンターラは下部まで張り込まれる。
助手席の右足奥部にシガー電源ソケットが隠されている!
NDは全車グローブBOXを持たない

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オプションのアルカンターラは
センターコンソールBOXリッドにも張られる

 

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NR-Aはハイマウントストップランプカバーがブラック
NBは全車Aピラー、ドアミラーもブラックだが
試乗車はボディカラーもブラックだったので目立たない

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ファブリックシートの質感は価格に見合ったもの
ワインディングを楽しむ、半日ドライブでは問題ない
スポーツ走行を重視するならよりホットなモデルへ要交換

 

 

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左側がNR-Aで車高を下げた状態。
右側がS。車高の違いは20mm程度か

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右側がNR-Aで車高を下げた状態。
左側がS。車高の違いは20mm程度か

 

 

 

 

 

 

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<やっとしっくり来るNDロードスターに出会えた>

NR-Aは走り出して、第一印象がとても良かった。全域に渡ってこれまでのNDとは異なり、ワンランク上のダイレクト感ある走りを実感できた。ギヤをローに入れて、スタートした瞬間から駆動の伝わり方が気持ち良い。ギヤをシフトアップして加速すれば軽快かつダイレクトな走り感だ。シャシーはソリッドな感覚でステアリングを切ればこれまでのRS、Sスペシャルパッケージ、Sなどとは別次元のシャープな回答性が得られる。やっと歴代モデルに通づるロードスターらしい走りをNDで感じられた。これならばNDを買いたいという従来型のオーナーにもオススメできる。
乗り心地はNR-Aだからといって決してハードなものではなく、『これが標準モデルでよいのでは?』と思うほどだ。段差を乗り越えても瞬時に衝撃を吸収し、フラットな姿勢を保つシャシーのセッティングは絶妙だ。ダンパーのフリクションも感じられないし、NB、NCのNR-Aモデルより良い乗り心地だ。箱根を1日中走っても乗っても筆者にとっては『大きな突き上げ』は感じられなかった。助手席でも『ワクワクする走りの楽しさ』を感じられ、長時間、快適に過ごせたのも印象的だった。FRスポーツ、オープンスポーツを気軽に楽しむ車として、また通勤など日常の足としても最適だと感じられた。
NR-AをNDロードスターのスタンダードと捉えるとそれ以外のNDはホイールベースが長い、2+2のスペシャルティカーだったのではないか?と思えるほど差が大きい。誰にでも扱い易いようにと施されたセッティングだったのかもしれないが、スポーツカーを名乗るのであれば、このNR-Aレベルの機敏さをスタンダードセッティングとし、スポーツモデルには更にスポーティさを求めたいと感じるほどだが、そこはアフターパーツ、チューニングの世界となるのか

 

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<人馬一体の領域に入ったハンドリング>
NR-Aのハンドリングは自然なものとなった。ステアリングを切り込めば素直に反応し、ターンインを始める。クリッピングポイント(イン側によるところ)にスッと狙い通りのラインと姿勢で持っていける。立ち上がりはステアリングを戻しながら、加速。リヤタイヤのグリップ感を確かめながらアクセルを踏み込んでいく。そんな普通の走り、あるいはスポーツドライビングがごくごく自然に行える。

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これまでのND(RSも)はコーナー入り口で拳ひとつ分くらいステアリングを切り始めても反応が鈍く、遅れてゆるりとコーナリングを始め、コーナー出口でステアリングを戻しきれないままアウト側まででていき、直線に入ってからステアリングをまっすぐに戻すような動き、すべてがオブラートに包まれ、節度ないハンドリングだった。クリッピングポイントではスポーツカーとしては蛇角もロールも大きく、ブッシュが動くのか、ムズムズとトー変化が大きかった。『乗り心地重視でノーマルだから仕方ないか』と思う一方、リヤの接地圧が路面と関係なく一定しない違和感は拭えなかった。直進安定性が低かったことも大いに不満だった。

 

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ところがNR-Aは違う!高速走行でもしっかり真っ直ぐ走る直進安定性がある。だからコーナーリングもピタリと決まる。スポーツカーというか、クルマにとって非常に重要な基本性能をしっかりと見直ししてきたことがハッキリと感じられる。

ブレーキもいい!効きも良いし、踏み加え、抜きのコントロール性も向上した。

 

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 冷却フィン付きデフケース、強化トルセンLSD、ビルシュタインCリング車高調整式スポーツダンパー

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 大容量ラジエターでスポーツ走行時の冷却性能アップ。フロント サスタワーバー、トンネルブレースバーでボディ補強

<すべてが見直されたNR-Aのメカニズム>
どうしてこれほどまでにNR-Aは進化したのか?
私が大きく進化を感じたのはボディのしっかり感。サスペンションのしっかり感、駆動系のしっかり感だ。
つまりNDはNR-A登場から、全体的に『とてもしっかりとしたクルマ』になった。
まずボディがいい。ボディ補強としてフロント サスタワーバー(ストラットタワーバー、エンジンルーム内のV字型のバー)、トンネルブレースバー(ロワアームバー、フロア下側から見た部分のバー)などが入り、しっかり感が増している。これらは重量増となるが、NR-Aは余計な豪華装備は省かれているので、1010kgと軽量だ。大径ブレーキまで奢って、この重量は立派なものだ。これらの補強によってボディがしっかりしたことでサスペンションがとてもスムーズに動いている。NR-Aはバネレートも上がっているがむしろSスペシャルパッケージより柔らかくしなやかに感じるほどだ。ND発売から僅か5ヶ月でこの改良はこれまでにロードスターを買ったオーナーはかなり悔しいと思われるが、この補強とNR-Aサスキットの装着は流用候補のひとつとして注目だ。
そしてもうひとつ、NR-Aは電動パワーステアリングのセッティングが異なり、よりシャープなものとなっている。この効果も大きい。これも是非、他のモデルにも流用してほしいものだ。

そして駆動系のしっかり感。これはNR-Aが輸出用2.0リットルモデルのものと思われる強化ドライブシャフト&プロペラシャフト、強化トルセンデフ、強化P.P.F(パワープラントフレーム)を採用していることに起因すると思われる。
『そんな僅かな違いがわかるはずもない』と思っていたのだが、RSやSなどと再度乗り比べてみてもこのNR-A試乗車の『駆動系の硬質感』は感じられた。シフトフィールも心なしかカッチリ感が増したように思われた。これだけ質感の高い走りなら、他のモデルにも是非、拡大採用してほしい。

 

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<NR-Aが見せたND熟成の可能性>
NR-AはFRスポーツカーとして、ロードスターをこよなく愛してきたユーザーに『これぞロードスターだ!』と思わせる資質をもったモデルだ。『やっと納得のいくNDロードスターに出会えた』という人もきっと増えるに違いない。
NR-Aは来年度から始まるパーティレースIIIをはじめ、数多くのワンメイクレースなどで活躍する予定だ。イコールコンディションで展開されるレースだけに初期モデルのNR-Aのセッティングレベルには注目していたが、完璧とは言えないまでもひとまず納得いく走りにまとまっていたことにホッとした。このセッティングなら、FRスポーツカーとして、昔からのロードスターファンでも納得するだろう。
しかし、エンジンのアクセルに対するレスポンス遅れだけはまだ残っており、特に街中でよく使用する4000回転以下でのアクセルの『ツキ』と回転落ちに不満が残る。まだまだ熟成してほしいポイントだ。
NR-Aの登場によって、これまでのNDもチューニング次第ではNR-Aに近いシャープな走りを楽しめるであろうことが解った。NDは後退したドライビングポジションや電動パワーステアリングの全車採用など、これまでのロードスターと異なるフィーリングを感じ、歴代ロードスターのように後からのチューニングでは補いきれない部分があるのではないか!?と不安があったが、『チューング次第ではいい車に育つ』ということが今回の試乗で実感出来た。

『NDロードスターをどう育てていくのか!?』
『育てる』とうのはお金をかければよいなど、過保護に甘やかすことが必ずしも良い結果をもたらすことではないのは人もクルマも同じであろう。これから10年、20年、それ以上とロードスターあるいはライトウェイトFRスポーツが生きていくために、何が必要なのだろうか。やはりそれは『基本に忠実な走りとクルマ作り』これにつきると思う。
もし、マツダがその道から外れそうになった時には、時に厳しく、ロードスターに対して率直な意見を述べることも必要だということを我々ユーザーも忘れてはならない。

『ロードスターの未来は世界のライトウェイトFRスポーツの未来に大きな影響を与える』
ちょっと大げさかもしれないが、ロードスターとはそういったベンチマークとなる立ち位置にいるクルマ。
世界に誇るべき『日本の宝』のひとつなのだ。

 

自動車研究家
出来利弘

 

NDロードスター研究
2015年3月 NDロードスタープロトタイプ試乗
2015年5月 
NDロードスター試乗記『ND新時代の到来』
2015年9月 マツダロードスターND NR-Aを研究する

MAZDA ROADSTER NR-A 公式サイト:http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/nr-a/
MAZDA ROADSTER PARTY RACE 公式サイト:http://www.party-race.com

マツダロードスター ND NR-Aを研究する

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マツダロードスター (ND) NR-A 

9月5日(土)NDロードスター NR-A(1500cc) が第26回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース会場となった
筑波サーキットパドックにて公開された。

追記:10月15日に新型ロードスターNR-A(ND型)を264万6000円(税込)で発売すると9月24日にマツダから正式発表されました。

追記:11月24日に新型ロードスターNR-A 試乗 インプレッションの記事を追加しました

NDロードスターNR-Aはパーティレースやチャンピオンレースなどナンバー付きワンメイクレース出場を目的としたユーザーに向けて開発されている車両。歴代NB、NCのNR-Aは、そのレギュレーションからエアコン、パワーステアリング、パワーウインドなどの快適装備を備え、ロールバーを装着してもホロの開閉が可能。他のモデルに対して多少ハードなシャシーセッティングとはなるものの、一般道での乗り心地も十分に考慮されたものだった。おそらくNDのNR-Aもその性格を踏襲したものとなるであろう。

ND NR-Aは言わば、輸出用 MX-5(ロードスター)2000ccモデルのシャシーに1500ccエンジンを搭載したようなモデルだ。
排気量の大きなモデルのブレーキ、ラジエター、補強バーなどを流用することで安価で高性能なアップグレードとして、サーキット走行での信頼性を上げる方法はNBロードスター時代に1800ccモデルのシャシーに1600ccエンジンを搭載して完成させたNR-Aの成り立ちを彷彿とさせる。更にビルシュタイン製ダンパーは車高調整式となっており、これはNCロードスターNR-Aが取った手法だ。

シンプルなエクステリアにはアークティックホワイト(ソリッドホワイト)が良く似合う。
 

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Aピラー、ドアミラーは他のグレードと同じくブラックアウトされ、助手席側に赤い競技用牽引フック(オプション?)が確認できる

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リヤにも赤い競技用牽引フックを装備

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 バックランプベゼルはS同様になし。ハイマウントストップランプ・カバーはブラックに改められる

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ホイールは新しいシルバーカラーで差別化。
6.5J×16インチ軽量デザイン。

ブレーキローターは前後共に1インチ大型化。
キャリパーはこれまでと同じ?

装着されるタイヤは純正と同じアドバンスポーツ195/50R16だが、レースのレギュレーションでワンメイク化されるタイヤはまだ明らかになっていない

 

 

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NDロードスターNR-A のフロントサスペンション周り。
アルミ製フロントダブルウィッシュボーンのサスアーム、短めにデザインされたブレーキホース、スタビリンクなど、タイトな空間に巧みにレイアウトされる。
 

ビルシュタイン製ダンパーはNR-A専用品。Cリング車高調整式となっており、車高を低めにセッティングしたり、前後バランスを調整することも可能

 

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強化スーパーLSD(トルクセンシング式)を国内初採用。冷却フィンが追加され、LSDの効き自体も強化される。

P.P.F.(パワープラントフレーム)も強化品となる。

これらは輸出仕様2.0リッターモデルからの流用品と推測される

 

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NDロードスターNR-A のリヤサスペンション周り。
マルチリンク式リヤサスペンションを採用。

リヤもビルシュタイン製Cリング車高調整式ダンパーを採用。リヤスタビライザーは標準装備。

ドライブシャフトは強化品となる

これらも輸出仕様2.0リッターモデルからの流用品と推測される

 

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NR-A専用のトンネルブレースバーは確認できるか!?

ボディ剛性の強化が図られる。

P.P.F.(パワープラントフレーム)は奥上方。

こちらは更なるダイレクト感とトラクション性能向上となる

 

 

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エンジンはSKYACTIV-G 1.5リットルDOHCエンジン。ロードスター専用設計の131PS ハイオクガソリン仕様でNR-Aとなっても仕様変更はない。初採用となるストラットタワーバーが目を引く

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NR-Aは専用の大型ラジエターを採用し、冷却性能を向上させている。残念ながら写真では確認できないがフロントフレーム下あたりに設置される。

 

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NR-A専用ロールバーが展示車には装着されていた。NCモデルとの比較では今回からサイドバーが標準装備されたが、足元は乗降性に配慮したデザインとなっている。またヘッドレスト後方には斜めのバーが追加された。
 

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NDは法規の関係からこの説明が印刷されたサンバイザーを
ロールバー装着時に取り外すことは出来ない

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撮影車にはBRIDE製フルバケットシート、
TAKATA製6点式シートベルトが装着されていた

 

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シンプルな印象のNR-Aのインパネ周り。
サテンシルバーメッキだった部分がシンプルなつや消しシルバーとなり、エアコン吹き出し口周りはピアノブラックのみとなった。
本革巻きステアリングを採用しているが、ステアリングスイッチ類は省略され、スポーツカーらしいシンプルさを取り戻した。

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 シフトノブ&サイドブレーキグリップはウレタン製

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シフト周りはマットなシルバーリング。USBジャックはフタ付き。マニュアル式エアコンはブラックプラスチック製でスポーティ

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  ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム(D.S.C.) 横滑り防止機構&トラクション・コントロール・システム(T.C.S.)を標準装備。OFFスイッチでカット可能のようだが完全OFFできるスイッチであってほしい。

ドアパネルはボディ同色パネル、ステッチ入りレザー張りと純正モデルと同じく豪華なままだ

 

 

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ロールバー装着オープンのリヤスタイル

 

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新型マツダロードスターNR-A 
1500ccとなって初心者やレース復帰組にとっても扱いやすいパワーのナンバー付きワンメイクレースが
いよいよ2016年から開催されるのか!?

NDロードスターというオープンカー、しかもFR車で楽しめるのはとても魅力的だ。

NR-Aの走りと来年からのレースレギュレーションに注目が集まっている。

 

自動車研究家
出来 利弘

 

追記:11月24日に新型ロードスターNR-A 試乗 インプレッションの記事を追加しました

NDロードスター研究

2015年3月 NDロードスタープロトタイプ試乗
2015年5月 
NDロードスター試乗記『ND新時代の到来』
2015年9月 マツダロードスターND NR-Aを研究する

MAZDA ROADSTER NR-A 公式サイト:http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/nr-a/
MAZDA ROADSTER PARTY RACE 公式サイト:http://www.party-race.com

 

NDロードスター試乗インプレッション『ND新時代の到来』

 

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新型NDロードスターに試乗した。

3月の市販プロトタイプ試乗記を書いてから2ヶ月。市販バージョンを5月20日に正式発表、21日発売となり、 新型マツダロードスター NDの全てのグレードに試乗する機会を得た。最もベーシックなS (990kg) 6MT 249万4800円、Sスペシャルパッケージ (1030kg) 6MT 270万円、Sレザーパッケージ 6EC-AT(アクティブマチック、1060kg) 314万2800円の3台でS以外はi-ELOOP+i-stop装着車

私はロードスターをNA(初代)、NB(2代目)、NC(3代目)と何台も乗り継いでいて、本当に好きなクルマのひとつ。先代NCロードスターの2.0ℓ170PSに対して、新型NDロードスターは1.5ℓ131PSエンジンへと排気量とパワーが絞られているがボディやサスペンションなどアルミを多岐に渡って使用するなどコストをかけた軽量化技術が投入され、最軽量モデルのSでは車両重量990kgを達成している。全幅は歴代でもっとも広い1735mmだが、全長は3915mmと歴代で最も短くコンパクトとする割り切った設計とするなど新世代ライトウェイトスポーツの理想を目指したマツダの意欲作だ。

NDロードスターのデザインは内外装の質感の高さと相まって歴代ロードスターの中で『大人のスポーツカー』を最も意識するモデルだ。野生動物、チーターを彷彿とさせるものとし、フロントノーズ先端部は低く、ワイルドだ。実際のクルマよりも大きく、存在感がある。一方でリヤはワイドに張り出したフェンダー、上部をコンパクトに絞り込み、シンプルな丸いテールランプを配置するなど愛らしさとコンパクトさが感じられるデザイン。両極端な2面性を持ち、サイドビューは特徴的な『逆ウェッジシェイプ』を描き、上部から見ればディアドロップ形状にも見えるような躍動的で抑揚のあるデザインを採用している。これまでより1クラス上のスポーツカーや輸入車を所有していたユーザーが思わず振り返るそんな存在感のある独特のデザインだ。『格好良く、ちょっと都会的でオシャレ』という今のマツダブランドを象徴するモデルと言えるだろう。


<とにかく乗りやすい新世代ロードスター>

NDロードスターの『走り』を一言で表現するならば『誰もがライトウェイトFRオープンスポーツの走りを気軽に楽しめるクルマ』スポーツカービギナーにとってエントリーしやすく、間口の広いセッティングだ。これまで歴代ロードスターがもっていたクイックなステアリングやダイレクト感溢れるシフトやスロットルなどによる楽しさ。これらと引き替えに持っていた乗りにくさ、扱いにくさといったネガティブな面(これらはほんの僅かだが)を徹底して改善に次ぐ改善を行い、とにかく乗りやすく、みんなにスポーツカーの気持ち良さを感じられるようにと、今のマツダが考えるライトウェイトスポーツのあるべき姿を具現化したモデルだ。誤解を恐れずに言えばちょうど先日、提携関係を結ぶと発表されたトヨタ的な親しみ易さがプラスされたロードスターとも言える。
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<エクステリアデザイン>

キリリとした鋭いデザインは歴代ロードスターとは一線を画すもの。小型LEDライトの採用により、精悍なイメージとなり、フロント部の存在感は歴代で最も大きい。ボディ面の質感がとても高く、上質なプレミアムカーに迫る雰囲気が漂う。ただし、量産市販バージョンは車高が少し上がり、ホイールハウスの隙間が30mm程度広がった。ボンネットとフロントフェンダーとの隙間も若干広がり、白いボディカラーでは少々、気になるというのが正直なところだ。

 

<NDロードスター 公道インプレッション>

ベーシックなSに乗り、ギヤを1速に入れて走り出す。ボディの軽さを感じさせる軽快な走り出しが爽快だ。エンジンもフリクション感が少なく軽快に回り、乾いたエキゾーストノートと息の長い加速感が続く。シフトフィールはスムーズで各ギヤに吸い込まれるようにシフトアップ出来る。速度がスルスルと上がっていくスムーズさ、軽やかさが印象的な爽やか系の走りだ。もし初めてオープン2シーターに乗るという人は今まで知らなかった風を感じながら走る世界に夢中になることだろう。サスペンションはしなやかに路面を捉え、軽量スポーツカーにありがちなコツコツとした突き上げや硬さは感じられない。まさに『大人になったロードスター』であり、あたりはとても優しい。クルマの動き、ロール量は大きめに設定され、アグレッシブなフロントデザインやセンターにタコメーターを配置するレーシーなコクピットから想像するよりもずっと洗練された走りで普通にロードスター感ある走りを堪能できる。
エンジン、ミッション、デフレンシャルギヤを含め不快なノイズがよく抑え込まれ、パワートレイン系の質感の高さが感じられる。エンジンは低速、中速、高速とどの回転域でも扱い易く、フラットなトルク特性。ギヤ比のセッティングはちょうど歴代5MTのロードスターに近いものに6速がオーバードライブで追加されているようなイメージ。NB、NC時代の6MTのように急かされる感じはない。回しても流してもちょうど良い、絶妙なセッティングだ。このギヤ割りは良い。発進時とシフトアップした直後のトルク感も上々で車体をグッ、グッと前に押し出す。その後、落ち着いてから伸びるように加速度を増す特徴的なセッティング。まさにNDのボディサイドデザインのようなグッ、ギュ、プォーン!っという感じの加速で車速が乗っていく。

このSとATモデルはリヤスタビライザー、トルセンLSDが未装着。以前、市販プロトタイプバージョンに乗った時には着座位置が後ろであるためかリヤが回り込む際に違和感を感じたが、今回の量産モデルはNA、NB、NCからでもそれほど違和感ないように進化している!またコーナリング時にSスペシャルとの明確な違いはプロトタイプの時ほど感じられなかった。僅かにSスペシャルのロール剛性が高く機敏なのかな?と思った程度であり、よほど敏感なドライバーでない限り、街中ではその走りの差に気が付かないだろう

今回の試乗で最も驚いたのは6AT仕様の完成度だった。スポーツ走行のようなシーンではもちろん、6MTの方がダイレクト感は上で適しているが、街乗りに関してこの6AT仕様モデルの走りも素晴らしいものだった。デュアルクラッチ、CVTなどある中、このトルコン式ATはシフトダウン時のブリッピング(空吹かし)も的確に決まる上、ロックアップ領域を広げるなどのセッティングが功を奏し、使い易いパドルシフトでついつい回して楽しんでしまうほどの走りの良さを実現している。このしなやかな足廻りやハンドリングには6ATの方が『走りのリズムが合っている』と感じられた。


<現代の燃費性能を持ち合わせたスポーツカー>

また試乗車は高負荷での走行が続いているであろうにも関わらず、燃費計は12.6km/ℓを指していた。走行フィールから推測すれば日常燃費は14km/ℓ以上くらいでは走れるだろう。これは街乗りで10km/ℓ程度とスポーツカーとしては比較的低燃費だった先代までのロードスターからの更なる大きな進歩である。この抜群の燃費性能と走りの楽しさの両立がNDロードスターの最大の魅力だ。長時間乗れる機会があれば実測燃費も計測してみたい。




エアバックは世界最小サイズ。ドライビングポジションは自然で乗りやすく、車両感覚も掴み易い。先代NCはやや斜め後方が確認しづらかったが、NDは視界も良好。本革シート、ファブリックシート共にホールド性が高く、座り心地は良好だ。
ドアトリムパネルは上部がボンネットデザインとつながる新しいデザインテーマだがボディ同色で各色設定される!(なかなかコストがかかるこだわりだ)。レザーが張り込まれた内張りは大人の雰囲気でデザインされ、高級感に溢れる。ただしこのドア、開ける際には要注意!あまりに軽い操作感で、いきなりドバーッと全開になってしまうことがあり、隣のクルマや壁にドアパンチしてしまいそうだ(笑)。もう少し中間で止まるように早期改良を望みたい。



最近のマツダ車の例に漏れず、ペダルは自然な配置、長時間走行でも正確なアクセルワークが行い易いオルガン式を採用。ただスポーツドライビングにおけるヒール&トゥはでは吊り下げ式の方がより繊細にアクセルコントロールし易いのではないか?とも感じる場面もあった。フットレスト後方の膨らみは触媒を避けるため



細身のステアリングの形状、本革の質感、感触がとても良い!ステアリングスポークのシルバー部まできちんとデザインされている。電動パワステは軽めのフィーリングが好きなユーザーは慣れれば問題ないレベル。ただし切り始めのカチャっとなる感じと中立付近での曖昧なステアリングフィールはせっかくのFRなのだから、もう少し熟成して欲しい。



シフトノブは初の丸型形状、本革の質感が良い。ギヤ比のセッティングは絶妙で長年ロードスターを作り続けてきたマツダのノウハウが詰まっている



メーターはロードスター初のセンターメーター。インジケーターの液晶表示やメーターリングなどの質感は高く、センターメーターというとレーシーな雰囲気でありながら、上級スポーツカーに乗っているかのようなやすらぎと高級感がある。




運転席に座ってボンネット裏のボルト&ナットがむき出しに見えるのが気になる。86/BRZやZ34などでは上手く隠されていて気にならないがNDはメーター脇からまる見え。プレミアムを名乗るなら、カバーをつけるなど対策して欲しい。

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プロトタイプで私が感動したボンネット内のボルトを隠すカバーも国産コンパクトカーに用いられる一般的なラバーに変更されている。量産ではボンネットとフロントフェンダーのクリアランスが広がってしまったため?内部の前側のボルトが外から見えてしまう。ホワイト系ボディでは目立つのがプレミアムカーとしてはちょっと残念。これもロードスタークラスとしてみれば笑って許せる範囲か

 





インパネの質感はプラスチックは一般的な質感だが、これくらいがロードスターらしくて好印象だ。Sとスペシャルパッケージはこれが標準。レザーパッケージはレザー張りとなり、ステッチも入りプレミアム感がアップ。グローブボックスはスペースと軽量化のために設定されていない


追記:SスペシャルパッケージではAUX、USBなどのジャックはシフトノブ前に2つあり、Sでは未使用時のためのカバーがある。スポーツカーではほとんど使わないユーザーもいるので上級グレードにもカバーが欲しい

 

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車両説明書などはセンター後方のボックスに収納される。奥行きがあり、かなり使える



助手席後方に隠されているETC挿入BOX




最新エンジンSKYACTIVが載ったのは歴代ロードスター初。1.5ℓは完全フロントミドシップに搭載されている。エンジンルームはオーナーが楽しめるようにとアルミのフラットなカムカバーが設定されるなど工夫されている。吸気はフレッシュエアが導入できる好位置に配置するなど長年ロードスターを作り続けたマツダならではの洗練されたデザインのエンジンルームだ。左右のフェンダーでっぱりはダミーなのでストラット上部までの距離はかなりある。

エンジンは1500ccのプレミアムガソリン仕様でND専用チューニングによって131PS/ 7,000rpm、15.3kgf・m/ 4,800rpmを発生。鍛造クランクシャフトを採用し、レッドゾーンは7500rpmと高回転化を可能とするSKYACTIVシリーズで最も自然で気持ち良いエンジンだ。全体として静かでエンジン音より乾いた排気音が軽快に聞こえてくる。軽快な吹け上がりはもちろん、吹け落ちも素早くなり、スポーツドライビングへの気持ちを熱くさせる。軽量フライホイールの効果もあると思うが、これらはプロトからフィーリングは大きく進化。現代の厳しい排ガス規制の中、このエンジンお吹け落ちのスピードは納得のいくものだ。『現代に求められるエコ性能の基準をクリアした上での軽快な吹け上がりの実現』言葉にするのは簡単だが決して容易なことではない。マツダの技術者たちの情熱(執念?)を垣間見れる部分だ。



テールはかなり絞り込んでいてコンパクトで優しい印象。NAと比べても上部はかなり絞り込んでいる




トランクは開口部が歴代で最も狭いですが、深さがあり、飛行機の機内持込サイズのバックが2個収納可能。トランクリッドもアルミ製。




歴代ロードスター大好きな私ですが、「今、NDロードスターを買うか!?」と聞かれると現状ではまだその気になれない。今ひとつピリッ!としたモデル、あるいはベース車として手頃な価格のモデルがないからだ。
今回のNDロードスターは次の10年に向けて販売していく計画で順次魅力的なモデルが追加される可能性がある。海外では2.0ℓで160PSモデルも存在し、これはきっとブレーキ、ミッション、デフなども強化されたモデルだろう。日本向けに発売されるとすればNB時代に習って考えれば『RS』というモデルとなり、ビルシュタインと大径ブレーキ、大型ラジエター、フロア補強が追加されるのであろうか。グローバルカップカーのベースとも言えるこのモデルの存在はとても気になる。


この2.0RSがあるとしたら、その装備で1.5ℓを積んだモデルは『NR-A』となって発売されるのだろうか。パーティレースのベース車がいつ発売されるのか?メディア4耐あたりで公開か?もし出るならばスタビ、トルセンLSDが装備され、装備はシンプルであろうこのモデルも気になる。更にRHT(リトラクタブルハードトップ)モデルも追加されるのでは?という噂やクーペ(クローズド)モデルもありそうなデザインにも見える。また兄弟車でフィアットかアルファか、アバルトからのバージョンが出そうなことも気になる。もしそれが噂通り1.4ℓターボで出るなら、NDに1.5ℓターボモデルなどはでないのか?トヨタとの提携によって、トヨタからも数年でロードスターの兄弟がでるのではないか!?など妄想は膨らむ。これからの展開が楽しみだ。





私は26年前、デビューしたばかりのユーノスロードスター(初代NA6CE)のスペシャルパッケージを買った。しかしそれはサスペンションがソフト過ぎて走りに特化していた私は我慢ができず、KONIとレーシングビートサスを入れて乗っていた。峠ではビスカスLSDの効きの弱さに閉口し、機械式LSDが欲しい!バケット欲しい、エンジンチューンしたい!と思っていたところでM2が発売され、ショックを受けた。その2年後に中古のM2 1001に出会い、乗り換え、今まで20年以上乗っているといった経験がある。
その後、ロードスター2台所有した際もNB8CはRSモデル、NB6CはTD-1001R、NCはNR-Aだった。その時もSやスペシャルパッケージは存在していたが、私が選択したのはスポーティモデルだった。だから『オレのND』はまだ発売されていないのだ。ここで買っては26年前と同じ過ちにまた後悔することだろう。NA時代の苦い経験は忘れません(笑)。

NDは『歴代も最もコストと時間をかけて開発されたロードスター』として歴史に残る存在になるだろう。いつかは所有してみたい気持ちもあるが、現状NDのラインナップモデルはかなりソフトなタッチであり、すべての操作に対して『オレとしては』スポンジーに感じ、正直NAのようなシンプルなダイレクト感は得られなかった。もちろん、近年のマツダ車SKYACTIV軍団の中では最もダイレクトでスポーティなのだが、クラッチやステアリング、ブレーキング、アクセルなどどのように操作しても『普通に走ってしまう』ことが不満という、なんとも贅沢な悩みなのだが、私がロードスターに求める感覚とはまだ一致していない。
一方で
『この親しみ易さこそロードスターだ!』『オレには十分に刺激的!』と感じられる人にはこれがベストであり、エントリーモデルとして『FRやスポーツカーは敷居が高い』と感じていた人にとってはステップのひとつとして買っても良いモデルだと言えるだろう。そして『もっとピリッ!とした走りが欲しい!』という私のような人たちに対してはきっとマツダがRSやNR-A、または低価格ベースモデルなど、遠くない将来に出すことを考えてくれるであろう。

今はこのFRライトウェイトシャシーをマツダが開発し、発売してくれたことを素直に喜び、今後の改良と熟成、そしてスポーツ走行が大好きなロードスターファンが欲しくて堪らなくなるような追加モデルを期待したい。

最後に今回貴重なND試乗の機会をいち早く与えてくださった湘南マツダ平塚店のみなさん、ありがとうございました!早速 S スペシャルパッケージを乗せてくれた友人にも感謝です。ありがとう!

関連情報URL : http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/?link_id=rsmag06

 

自動車研究家

出来 利弘

 

201592053229.jpgのサムネイル画像

追記:やはりNR-Aはあった!

 NDロードスターNR-Aを研究するレポートを追加

 http://www.d-technique.co.jp/magazine/2015/09/-nd-nr-a.php



 

ホンダS660 試乗インプレッション『S660の価値は世界唯一の存在』

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HONDA S660に試乗した。2015年4月2日(木)に正式発売となったS660。試乗したαは218万円(税込)、βは198万円からだか走行性能に関する装備は共通。私はホンダビートとマツダロードスターと2台所有していた時期がかなり長期間あったので、久々に出たホンダのコンパクトミドシップスポーツに興味深々だ。

乗った感想を一言で言えば、『痛快ハンドリングマシン!』
小さなスーパーカーといった感じ。

S660は見るだけでワクワクし、クルマの周りには常に人だかり、カーマニアはもちろん、普段クルマに関心を持たないような一般の方々、通学途中の子供たちなどが寄ってきて「格好いい!」と言いながらずっと観ていた。
そう、まさしくスーパーカー現象。一般ディーラーの前でこんな光景を見たのはいったい何年振りだろうか。

格好良く、新しく、ちょっと可愛い。そしてそのサイズ感がどこか親しみ易い。
この感覚、これから先もずっと何年も続くのか?今だけなのか、それはまだ解らないが、今、この瞬間だけを捉えてもこれだけ、多くの人を幸せにしたのだから十分に価値あるクルマだ。
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こんな格好いい、超コンパクトなスーパーカーが動くこと自体に感動する。
しかもそれは世界の頂点、F-1の世界で戦うホンダにしかできないパッケージングで完成されているものだ。
『S660は世界唯一の存在』そこにこのクルマの大いなる価値がある。


街行く人が振り返り、近寄ってくる。
フロントボンネットとエンジンフード開けた姿も格好いい



モーターショーで展示されたデザインコンセプトのイメージの再現度はかなり高い。
それを全幅1475mmという軽規格内で達成するレイアウト技術は世界屈指のもの。
これならワインディングでアウトインアウトのライン取りも自由自在だ。

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低いボンネットとこのリヤデッキデザインはラゲッジスペースをほとんど持たないことで実現したデザイン。
フロントフード内は幌をしまうスペースがありますが、とても薄く、ラジエター直後のために熱を持ちますので手荷物は車内にしかおけないでしょう。身長170cmくらいのドライバーなら、シート後ろに薄いバックくらいなら置けるか?
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絞り込まれたテールデザイン

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ビート、ユーノスロードスター、S660

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特徴的なドアノブが嬉しい。キーホールはかなり小さい


モーターショーのコンセプトカーを忠実に再現したドアミラー


コンパクトなヘッドライトはLED

テールもLED。未来的な造形でフロントとの統一感がある


センターマフラー!これは近年の国産市販車では稀少。


控えめなリヤスポイラーは速度が上がると可動するものが装着されていた

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インテリアは未来的な造形でコクピット感覚に包まれる。
これもコンセプトカーのイメージにかなり近い


メーターはデジタルスピード計とその周りを囲むように9000rpmまで刻まれたタコメーター。
レッドゾーンは7700rpmから文字の書体が優しい雰囲気でクルマのキャラクターに合う



スイッチパネルの質感も上々。ハザードスイッチなどタッチも良い


助手席前のソフトパッドは適度な質感でスポーツコンパクトらしい


USBジャックカバーがあり、スマートにデザインされている。
手前にはスマートフォンなどを置くスペースがある
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着座位置は低くドラポジがピタリと決まるコクピット。普通車のスポーツシートとして評価してもクッション性、ホールド性、共にノーマルとして申し分なく、妥協が感じられない。

革シートの質感


ステアリングの質感はデザイン、握り共に写真から想像するより、実物は良い。
カーボン調パネル類の質感などもちょうど良いライトな雰囲気。
電動パワステのフィーリングはとても自然でフィット流用とは思えない

軽自動車初となる6MTはギヤ比が実に適切で実に気持ちいい。これでクロスミッションのまま、6速化によって高速巡航への対応も可能。シフトフィールは横置きエンジンであるにも関わらず、スムーズでダイレクト感のあるもの。




クラッチは適度な重さで扱い易い。吊り下げ式のアクセルとブレーキ。ヒール&トゥーがし易いのがとても印象的だった。特にブレーキは素晴らしい制動力!
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カーボン調ドアパネはプラスチックで、質感はそこそこ。オプションで質感をアップさせるパーツがある。
ドアの開閉音はしっかりとして上質な音に作り込みされている
201545101244.jpgしかしこのくらいのプラスチック感がちょうど良いのかもしれない

P/Wスイッチとリヤクォーターパネルウインドも電動P/W!
開けるとエンジン音がダイレクトに入ってきて、レーシーなサウンドを楽しめる
もちろん換気にもなり、エアロボードのように風量を調整できる。
閉めれば静かで快適。助手席との会話も問題ない。

屋根を閉めてここを開けた時がもっともエンジンサウンドが大きい!
こんな遊び心のあるスーパーカー装備が標準とは実にホンダらしく素晴らしい。
(私なら仮に10万円オプションでも装着するだろう)

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エンジンはミドシップ(運転席の後ろ)に搭載。横置きで少し搭載位置は高め。エンジンサウンドはDOHC3気筒ターボだが1300ccNAのようなフィーリング。スペックから想像するより普通なサウンドだが、16インチタイヤ(なんとアドバンネオバ!)をクロスミッションを活かしてグイグイと加速させる!レッドゾーンの7700rpmまでグィーン!という加速サウンドとシフトアップ時にはプシュ!というブローオフバルブのサウンドが楽しめる。5500rpmから最後は詰まり気味で(64PS自主規制のため?)、普通に乗るには嬉しいレギュラーガソリン仕様だが、これをハイオク仕様にして、マフラーとコンピュターで100PSくらいすぐにチューニング出そうなポテンシャルを持ち、それを封印しているかのように感じられる。

エンジン横スレスレのがっちりストラット周りと前後に貫通したボディフレームが頑丈そうで作りの良さに感心。
アルミサブフレームも仕様され、サスペンションの高い取り付け剛性を確保。ミドシップらしいリヤの接地性の高さと本格的なスポーツ走行に大きく貢献するだろう

サイズや質感のわかる写真

エリーゼが大きく見え、デザインの質感では負けていない


アバルト500と並んでも堂々としたサイズ感と質感が解るだろう


NAロードスター、マーチ、ベゼルとの並び

 

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S660の走りは基本に忠実で素直なものだった。まさに楽しいスポーツカーへの直球勝負!走りのため、格好よさのために潔く割切られている。しかしその走りはホンダ往年のタイプRのようなカリカリではなく、穏やかにゆったり流して走っても楽しく、サスペンションはしなやかなものだ。コーナリング入口では荷重移動をそれほど意識しなくても曲がれる。ドライバー中心に旋回を開始する感覚はFR的でコーナリング開始後はエンジン重心位置の高さを感じるものの不安感はない。それはビート時代になかった新技術!横滑り防止装置によるところも大きい。ある意味、誰でも扱い易いコンパクトミドシップカーの登場だ。クルリと回ればガツン!とアクセルONで、ミドシップらしいトラクションがかかるメリハリのある走りが可能だ。
大げさに言えば、街中を全開でゴーカート感覚で駆け抜けられる!しかし、そんな気分でも違法なスピードまで上がらない範囲に収まる絶妙なパワーとギヤ比のセッティングだ。あと少し低いギヤ比ではガーガーとエンジンが唸って、いつまでも速度が乗らない車になる。速度の乗りはユーノスロードスター1600(NA6CE)と同等レベルかちょっと遅いか?と言った感じだ。

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繰り返すがこのカタチ、このコンパクトさ、この走り感は世界唯一のものであり、完成度はかなり高いもの。正直、期待したほどパワー感がない!アクセルオフしても回転の落ちが遅いなど、細かいアラを探せば足らない部分があちこち見えるが、それはオーナーが買ってから手を加えることできっと改善できるのではないかと思う。

ショーモデルをそのまま市販してしまったようなこのホンダの割り切り、潔さに驚き、関心し、感動が今も絶えない。ショーモデルを作るのと市販するのはまるで異なるからだ。

私はこいつに本当にエンジンが載って、みんなが買える値段と信頼性を持って街を走るところまで来るとは思ってもみなかった。そういった意味では奇跡のクルマだ



S660 6MT カーニバルイエローⅡの試乗車に乗せてくれたホンダカーズ神奈川北 麻生店のみなさん、ありがとうございました!

関連情報URL : http://www.honda.co.jp/S660/

 

 

 

自動車研究家
出来 利弘

 

NDロードスターの市販プロトタイプを初試乗

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Mazda Roadster Thanks Day in JAPAN 2nd に参加し、新型NDロードスターに試乗しました。
 
軽快感のあるスッキリした乗り味は予想以上に『良かった』
これがNDロードスターを乗った私の正直な感想だ。NDは歴代ロードスターの乗り味の延長線上にあることは間違いなく、進化もしている。
何に似ているのか?と問われればNCロードスターにコストをかけて軽量化と質感向上、熟成に時間をかけたモデルという印象だった。私はNCを『スーパーロードスター』であると語りNC研究ブログも書いたがNDはさらにスーパーとなり、これまでのRX-8あるいはRX-7クラスではないかと思うほど各部のクオリティを高めてきている。もちろん、1500cc のNAであるから、加速性能自体はそれなりだがドラテクを練習するには速すぎたNCからすれば適正とも言える。
 
乗った第一印象、それはまさにプレゼンであったこのグラフがNA NB NC NDという歴代ロードスターの立ち位置そのものを表している。
 
201532203631.jpgNDロードスターを一言で表現すれば、このグラフのイメージ通りのクルマだ。『魂動デザイン』、『SKYACTIVテクノロジー』という2つの時代をリードする武器を得たマツダがこのタイミングを逃さず、その技術を余すことなく投入したモデルだ。歴代ロードスターは旧型エンジンをベースに開発するなど妥協点があったが、NDは最新のエンジンを更にチューニングして載せ、シャシーもアルミを贅沢に使用した新設計。この高いレベルの作り込みはこれまでRX-7、あるいはRX-8の領域であったが、NDはロードスターとしては異例の作り込みによって進化を遂げている。NCでも少しその方向性はあったが今回はレベルが違う。では「NAに近くなったか?」と多くのユーザーから質問を受けたが、それは違う。もしNAに近いクルマであればこのグラフでももっとNAに近づいているだろう。ではNDは歴代ロードスターに対してどれに近いかと問われれば表の通り、最も近いのはNCであるが、その差はかなりある。これは乗った感覚も同じだ。
 
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それもそのはず、NDとNCはホイールベースとトレッド数値はかなり近く、フロントにダブルウィッシュボーン、リヤにマルチリンクを用いたサスペンション形式も同じだ。『やればここまで進化できるのか!』と驚くほど滑らかで、優しいフィーリングを持ち、『いいクルマ感』が増した。
 
ではNA/NBそのものか?それらを越えたか?と聞かれるとそれに対する返答は実に難しい。4輪ダブルウィッシュボーン式とサスペンション形式も異なるしホイールベースもずっと短い。タイヤサイズも異なる。もし点数をつけるならNDがほとんどの項目で上回るかもしれない。それほどNDは真面目に作られ、熟成し登場したモデルだ。
 
26年前、若かったNAロードスター、それが成長してNDという大人のモデルとなり、新生マツダのブランドアイコン、マツダブランドを広めるリーダー的な役割を背負って立つことなった。これまでとは『種類が違う』『背負っているもの、目指しているものが違う』ということを強く感じるのが今回の新型NDロードスターだ。まさに勢いに乗る今のマツダ商品群を象徴するモデルとなるだろう。
 
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エンジンはSKYACTIV 1.5ℓエンジン、ハイオク仕様で鍛造クランクシャフトを採用したND専用チューン。131PSを発生する。完全なフロントミドシップに搭載されており、エンジンルームはスペースに余裕が見られる。エンジン高、ストラット上部位置共に思ったより高くないので、ポップアップボンネットもあるだけにもう少し下げられてたのでは?と思うがそこ2.0ℓエンジンがあるためなのか、抑揚のあるフロントフェンダーデザインのためか?
 
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このクルマはプロトタイプのためフロントフェンダー内側カバーがなく、内部構造を確認することができた。このような形でフェンダー上部を持ち上げ支えられている。因みにこのフェンダー部も軽量化へのこだわりのアルミ製だ。
 
 
 
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もう一台のプロトタイプにはこのようにプラスチック成型のカバーが装着されていた。これによってボンネットとの隙間からエンジンルームのボルト類などが見えないように配慮するなどプレミアムカーに相応しい細部の作り込みがなされている。こういったものづくりが実践されていくのであればマツダのブランド構築は成功し、しっかりと根付いていくとこになるだろう
 
 
<NDロードスターを初試乗>
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やはりクルマは乗ってみないとわからない。
 
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早速乗り込む。ドアは軽く、スッっと開き、乗り込む前からこのクルマがライトウェイトスポーツカーであることを意識させる
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レザーを貼っていないシボ入りのプラスチックダッシュボード。ピュアなライトウェイトスポーツらしさがあり、こちらの仕様もなかなかの好印象。タコメーターがセンターとなる3連メーターとなり、ドライバーに対称な位置に配置されたエアコンルーバーなどによってコクピット感が強調されている。着座位置は低く、ダッシュボード上端の位置は高めだが手前になるにしたがって緩やかに傾斜しているので開放感は高い。ボンネット左右にはフロントストラットのキングピン延長線上にあるというコブが見える。
 
 
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エンジンはプッシュスタートボタンで行う。エンジンが始動するとブォーン!と一瞬吹け上がる演出。軽やかな音に気分が高まる。メータ左の燃料計、インジケーター周りの液晶がシンプルですっきりとしていて、なかなかいい。エンジンを空吹かししてみるとエンジンの吹け上がりは上々、吹け落ちはもうひとつだが、近年のマツダ車、そして他メーカーの車の中では早めの部類に入る。排気音が軽快で1500ccらしい、ピストンの軽さとフリクションの少なさを意識する。
 
 
クラッチの操作性は軽め、シフトを1速に入れるがこちらも軽めで現代のクルマらしく、実に入りやすい。クラッチを繋ぎ、発進する。わざとラフに扱ってもベストに回転を合わせを狙って繋いでも大きな違いはなく、誰でもスムーズに発進可能で扱い易い。タイヤの蹴り出しは軽く、とても16インチのタイヤを装着しているとは思えない軽快さを感じることが出来る。この発進時のトルクの出方、または電制スロットルのコントロールかもしれないが絶妙なセッティングだ。
 
 
まず、本革巻きステアリングの『革』がいい!触れた感触はしっとりとして、高級車に乗っている気分だが、握りは細く、硬質なのでスポーツカーらしい。最初にステアリングを切った感触はアレ?というものだった。中立付近が曖昧で切り込んでもなかなか旋回せず、大きめの舵角で90度の交差点を曲がる。クイックに切れ込むハンドリングが特徴だったこれまでのロードスターのイメージとは異なる。
 
 
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USBとAUX端子の部分はカバーが装着される。他のマツダ車はむき出しのため、使用しないときにずっと視野に入り、気になっていたがさすがブランドアイコン、ちゃんとカバーがついてきた。エアコンリングはブラックとシルバーのグレードがあるようだ
 
 
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直線を加速して2速にシフトアップ、そして回転をそれほど上げずに3速、4速とシフトしてみるが実にスムーズで滑らか。初めてのマニュアル車としても扱い易い。ちょっと肌寒い風を感じながら走る爽快感!段差を越えた際のやさしい乗り味はまさしくロードスターであり、エクステリアデザインのアグレッシブさとは裏腹に普通に『ロードスター』であった。
 
2つめの交差点、ブレーキングでは、ヒール&トゥでシフトダウンするが、オルガン式アクセルペダルはそのペダルの描く軌跡がブレーキと逆になるので、少し違和感がある。エンジンも吹け上がりは良いが吹け落ちのレスポンスに不満が残る。
ステアリングを切り込むと4WS車でトーアウトしているかのようにリヤが回りむ。これは今までのロードスターには感じらなかったもので違和感を感じた。これまでリヤのグリップ感(ある意味アンダーステア感)を頼りにブレーキングして、リヤタイヤの素直な動きを感じ取り、ドライブしてきたNA、NB、NCの感覚とは異なり、一瞬基準となる感覚を失うが、リヤタイヤに近いお尻が旋回しだしてからのオーバーステア感を感じやすい。同じようなサスセッティングであった場合に従来のNC以前のロードスターと比較してコーナー入り口で実際には安定している状態でもシャシーの安定性(アンダーステア感)を感じ取り難く、ターンインでステアリングを切ると実際にはフロントのタイヤがグリップして旋回が始まってもアンダーステア感が強く、大きな舵角を必要とするステアリング特性がそのイメージを増幅させる。ターンインが始まるとズルズルとリヤがオーバーステア感を伴って旋回する感覚を覚えるが実際のアングルは小さく、リヤは過剰に振り出されてはいない。わずか50mmの着座位置変更がこれほど影響するかはわからないが、電制ステアリング、サスペンション、ブッシュ、タイヤ、様々な要主張するハンドリングのイメージ。このリヤステアする新感覚をどう捉えるか?市販までには更なる熟成が進むのか、注目してみていきたい。ステアリングを戻しながら加速、ここでは違和感なく、気持ちよい加速が得られた。
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大きな段差を乗り越え、タイトなコーナーを少し速く旋回してみるとリヤが適度なしなりと緩さを感じさせた。リヤ周りに何か仕掛けがあるのでは?とフロアを撮影したがスタビがないことしか発見できなかった。
 
あとで解ったことだが、試乗したのはセラミックメタリックのSと呼ばれるベーシックなタイプ。
車両重量は990kgでシリーズ中、最も軽量なモデルでマツダコネクトレス、トルセンLSDレス、リヤスタビライザーレスのモデルであった。
 
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プロトタイプ試乗という貴重な機会を得たThanks Day in Japan2 だったが、速度制限もあったため、感じたフィーリングも更にハイスピード域では異なった印象となるかもしれない。
すっきりとした爽快なドライビングフィールが印象的なND初試乗だった。
 
マツダのこれまでの流れを見てもNDが実際に市販されるまでにはまだまだ更なる熟成が行われると思われる。
市販バージョンに乗れる日がとても楽しみだ。
 
自動車研究家
出来利弘
 
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