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新型デミオ 15 MB 試乗 インプレッション『これぞデミオ、これぞマツダ!』

 

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新型 デミオ 15MB に 試乗したのでインプレッションを書いた。

2015年10月22日に追加発売となったマツダ デミオ15MB (1500cc ガソリン)6MT、ベース車重 1000kg、
ベース車両本体価格 150万1200円(税抜き139万円)の
市販バージョンをミニサーキット、ワインディングで試乗する機会を得た。

その走りは、全てに渡って実にデミオらしく、マツダらしい、素晴らしい仕上がりのクルマだった

 

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DEMIO 15MB 6MT ベース車両本体価格 150万1200円(税抜き139万円) DJLFS
試乗車はこれにユーティリティーパッケージ(6万円+消費税)、特別塗装色スノーフレークホワイトパールマイカ(3万円+消費税)、その他マツダスピードエアロパーツ他のオプション装着車両。

ユーティリティパッケージの内容は、5.5J×16インチアルミホイール&185/60R16 86Hタイヤ、ダークティンテッドガラス(リアドア、リアゲート)、6:4分割可倒式シートバック、CDプレイヤーの4点。
マツダスピードエアロパーツ(フロントアンダースカート、サイドアンダースカート、リアルーフスポイラー、リアアンダーガーニッシュ、ドアミラーガーニッシュ、サイドデカール(アッパー&ロア)、ホイールデカール、シャークフィンアンテナがオプション装着されていたがオプション価格は未確認。2015年12月より5.5J×16インチアルミホイール&195/55R16 87Vファルケンタイヤも6万円+消費税でオプションに加わった。 

 





デミオ15MBの走りを一言で表現するなら『これぞデミオ、これぞマツダ!』


私がイメージしていた『マツダの走り』にやっとしっくりくるクルマが出た!
デミオ15MBは走り出しから軽快で楽しさに溢れていた。

エンジンは小気味よく軽快な吹け上がり、ミッションは適切なギヤ比のステップを刻み、シャシーセッティングはドライバーの操作に機敏に反応し、FFでありながら、『NA/NBロードスターを作ったマツダらしいな』と思わずニヤニヤとしてしまった。

 

15MBはエンジンをかけ、ギヤを1速に入れて走り出す瞬間から楽しい!
『基本に忠実に作られた4気筒の内燃機関エンジンに火を入れ、クルマを走らせる』。少し大げさに言えば初めてクルマの免許を取り、自分のクルマを走らせた時のワクワク感、ドキドキ感がどこかにある。質素なエントリーモデルでありながら、クルマが伝えてくるインフォメーションは骨太でドライビングの基本をしっかりと教えてくれる。それを乗りこなそうと試行錯誤しながら走る。上手くいけば気持ち良く、失敗した時にはそれではダメだとクルマが教えてくれる。そこにドライビングの上達と喜び、出来た時の達成感がある。
こんな、ひと昔前ならば、当たり前だったことが多くの新車たちから体感できなくなって、かなりの年月が過ぎた。

『なんだ、やれば今の環境の中でもこの走りで販売できるんだ!』

なんだか、とっても嬉しくなった。ハッチバックに乗る必要があるなら今すぐ欲しいくらいだ

 




具体的にはまず、エンジンの吹けあがりが自然で良い。電制スロットルの違和感は0ではないものの最小限だ。 中身はNDロードスターと同じエンジンということだが、パワー、トルク共に発生回転数が低めの設定のためか、こちらの方が発進からトルク感があり、元気がいい。アイドリング状態から、空吹かしでNDはワンテンポおいてから鋭く吹けあがるが、15MBはほどんどタイムラグなく吹けはじめ、その後は普通。いや自然というべきか。

 

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SKYACTIV-G 1500cc ガソリン P5-VPS型 最大出力 116PS/ 6000rpm、15.1kgm/ 4000rpm


ギヤをローギヤ(1速)に入れて走り出した瞬間から、『楽しい!』

そう、マツダの4気筒エンジンに4.3ファイナルギヤの組み合わせは黄金比なのではないかと思う。今回のデミオは4.388ファイナルとややローギヤードでしかもデミオ初の6MTを採用した。歴代デミオの5MTではどうしても1〜3速のギヤ比が離れていて、トルクの落ち込みを感じたが今回はかなりクロスレシオ!しかもギヤ比が適切でかなり気持ちいい。ギヤのステップはちょうどNA/NBの5MTの感覚に近い。更にトップに6速があるから、高速実用燃費も良さそうだ。シフトフィールはFFとしては十分節度のあるものだ。
(6速のギヤ比は3.585/ 1.904/ 1,290 /0.972/ 0.795/ 0.645)

 


<シャシーセッティングは秀逸>
まず乗り心地がいい。すっきりしていて、決してゴツゴツしすぎていないし、ダンパーもしっかり仕事している感じだ。車高も少し低められているのがちょうど良い効果を出しているのかもしれない。仕様変更はないそうだが、年次改良で個体差調整が進んでいるためだという。
他のデミオも進化しているはずだ。


コーナリングするとステアリングを切った分だけ、軽快にシャープにコーナリングする。
ZOOM ZOOMを語り出した頃の初代アテンザやNBロードスターなどを思い出すシャープさがある。もちろん市販車の範囲だが、これぞマツダだ!っと感じた。ゆっくりしなやかな動きの最近のマツダが好きな人もいるのだろうが、オレはこちらの方が好みだ。これは15MBだけではもったいない。是非、普通に15スポルトも設定して、6ATモデルも設定して、多くの人に乗ってほしい。それほどに基本に忠実で実に真面目な走りとセッティングだ。



 

<15MBに乗って気分が爽快になった!>
デミオ15MBを試乗できて本当によかった。なんか胸のところでモヤモヤしていた悩みが晴れた気分だ!
クルマは肩に力が入っておらず、『普通に乗って、普通に楽しい』。

私がマツダ好きになったのは『NA/NBロードスターやデミオの小気味良い走り、この軽快感だったのか!?』と今回、改めて再確認できた。
また『運転の練習に適している』ということも大事なポイントだったのだと思う。
15MBは間違いなく『運転の練習に適しているクルマ』のひとつだと思う。


『運転の練習に適している』とはどういうことか?
それはおしゃべりの出来るクルマ。
上手乗れたら、それに応えてクルマがいい走りをして「今の運転、上手だったね」と返してくれる。

ちょっとラフに扱えば、「それは違うよ、ちゃんと乗って!」とクルマが教えてくれること。
それがあるからマツダ車がみんな好きだったのかもしれない。

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最近のマツダは確かに良くなった。誰が乗ってもどう扱ってもしなやかに加速、減速、コーナリングができるのだが、ちょっとラフに乗ってしまい、「しまった!」っと思ってもクルマがスルリとカバーしてくれる。「よし、今のは決まった!」とバッチリな走りをしてもいつもと変わらず85点コーナリングに収められてしまうのがとても気になっているのだ。一般的には誰でも乗れて良いのかもしれないが、これまで長年マツダファンだった方の中には私のように物足りなさを感じていた人もいるだろう。
「今のマツダ車は格好良いなあ」とは思いつつも「買ってチューニングしたら、自分好みにできるのだろうか!?」「時代の流れ、制御で仕方ないのか!?」といったことが、気になっていただけに、今回の15MB体験はとても有意義なものでした。


『なんだ、やれば出来るんじゃん!』

嬉しい。デミオ15MBは気持ちいい。ということはNDも同じようにチューニングできるだろうし、他の最近のマツダの新車、あるいは中古車を買ってきてもセッティングしだいで同じように・・・??これは楽しみになってきた。
あれこれと妄想が膨らむ

 

自動車研究家
出来 利弘

 

ND ロードスターNR-A 試乗インプレッション
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2015/11/nd-nr-a.php

 

 

 

NDロードスター NR-A 試乗 インプレッション『NDロードスターの本命登場!』

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新型NDロードスターNR-Aに試乗した。
(写真はNR-Aレースバージョン アークティックホワイト。ロールバー(14万9040円)、ロールバープロテクター(7992円)、けん引フック(前後各1万800円)、
ブリッド製バケットシートはオプション)

2015年5月にNDロードスター試乗記『ND新時代の到来』を書いてから4ヶ月。9月のメディア4耐レース会場で早くもNR-Aグレード追加の発表と展示があり、マツダロードスターND NR-Aを研究するを書いた。

 

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新型ND マツダロードスター NR-A(1010kg)  6MT ジェットブラックマイカ 
車両本体価格 264万6000円(税抜き245万円)

10月22日に正式発売となったNR-Aの市販バージョンを箱根のワインディングで試乗する機会を得た。
 

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NDプロトタイプに近い低めの車高にシルバーホイールが爽やかなNR-Aのサイドビュー。ボディカラーがブラックのため、ブラックアウトされたピラー、ミラー、ハイマウントストップランプカバーは目立たない。
NR-Aはビルシュタイン社製Cリング車高調整機能付きスポーツタイプダンパーを装備しており、スポーツサスペンションでバネレートもアップ。
写真の試乗車は車高を一番下まで下げた状態(約20mmダウン程度)にセッティング済み。

 

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早速NR-Aのコクピットに乗り込む。試乗車はオプションのアルカンターラが各部に張り込まれていたが、ステアリングスイッチを持たないシンプルな本革ステアリング&ウレタンシフトノブ、ブラックで統一されたエアコンリング、ドアの内側ボディ同色部もブラックのため、落ち着いた大人の雰囲気に癒される。

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ファブリックシートはS、Sスペシャルパッケージと同じもの着座位置は低めで座り心地も良好。シートの適度な質感とインパネ周りの質感に統一感があり、ロードスターらしく、ライトウェイトFRスポーツらしい

 

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ドアパネルにもオプションのアルカンターラが張られている。ノーマルはレザーステッチ入りで、プレミアムなデザイン。

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NR-Aは光りすぎないシルバーのインナードアハンドル

 

 

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セグメント液晶オーディオ ディスプレイ
AM / FMラジオ & 4スピーカーが標準装備
 

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ピアノブラックのエアコンリング

 

 

 

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標準装備マニュアルエアコン。調整リングはブラック。
エンジンスタートボタンリングもブラックだ。
USB端子、AUXミニジャックを装備。未使用時にカバー可能

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シフトブーツリング加飾は控え目なシルバー。
ウレタン製シフトノブ&サイドブレーキグリップ。
キーレスを置くのにちょうどよいBOX。
アルカンターラ・サイドブレーキブーツはオプション

 

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6MTのシフトパターンが刻まれたウレタンシフトノブ
自分の好みのシフトノブへと交換するイメージが膨らむ

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ND全車と共通の3つ目デザインメーターはセンターに回転計
MID表示は走行可能距離のみ表示。燃費計は省略

 
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細身の本革巻ステアリングは質感が高い
シンプルなステアリングスイッチのない3本スポーク形状

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握りは親指を添える部分のフィット感がいい
ステアリングベゼルは反射を抑えたシルバー

 

 

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オプションのアルカンターラは下部まで張り込まれる。
助手席の右足奥部にシガー電源ソケットが隠されている!
NDは全車グローブBOXを持たない

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オプションのアルカンターラは
センターコンソールBOXリッドにも張られる

 

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NR-Aはハイマウントストップランプカバーがブラック
NBは全車Aピラー、ドアミラーもブラックだが
試乗車はボディカラーもブラックだったので目立たない

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ファブリックシートの質感は価格に見合ったもの
ワインディングを楽しむ、半日ドライブでは問題ない
スポーツ走行を重視するならよりホットなモデルへ要交換

 

 

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左側がNR-Aで車高を下げた状態。
右側がS。車高の違いは20mm程度か

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右側がNR-Aで車高を下げた状態。
左側がS。車高の違いは20mm程度か

 

 

 

 

 

 

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<やっとしっくり来るNDロードスターに出会えた>

NR-Aは走り出して、第一印象がとても良かった。全域に渡ってこれまでのNDとは異なり、ワンランク上のダイレクト感ある走りを実感できた。ギヤをローに入れて、スタートした瞬間から駆動の伝わり方が気持ち良い。ギヤをシフトアップして加速すれば軽快かつダイレクトな走り感だ。シャシーはソリッドな感覚でステアリングを切ればこれまでのRS、Sスペシャルパッケージ、Sなどとは別次元のシャープな回答性が得られる。やっと歴代モデルに通づるロードスターらしい走りをNDで感じられた。これならばNDを買いたいという従来型のオーナーにもオススメできる。
乗り心地はNR-Aだからといって決してハードなものではなく、『これが標準モデルでよいのでは?』と思うほどだ。段差を乗り越えても瞬時に衝撃を吸収し、フラットな姿勢を保つシャシーのセッティングは絶妙だ。ダンパーのフリクションも感じられないし、NB、NCのNR-Aモデルより良い乗り心地だ。箱根を1日中走っても乗っても筆者にとっては『大きな突き上げ』は感じられなかった。助手席でも『ワクワクする走りの楽しさ』を感じられ、長時間、快適に過ごせたのも印象的だった。FRスポーツ、オープンスポーツを気軽に楽しむ車として、また通勤など日常の足としても最適だと感じられた。
NR-AをNDロードスターのスタンダードと捉えるとそれ以外のNDはホイールベースが長い、2+2のスペシャルティカーだったのではないか?と思えるほど差が大きい。誰にでも扱い易いようにと施されたセッティングだったのかもしれないが、スポーツカーを名乗るのであれば、このNR-Aレベルの機敏さをスタンダードセッティングとし、スポーツモデルには更にスポーティさを求めたいと感じるほどだが、そこはアフターパーツ、チューニングの世界となるのか

 

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<人馬一体の領域に入ったハンドリング>
NR-Aのハンドリングは自然なものとなった。ステアリングを切り込めば素直に反応し、ターンインを始める。クリッピングポイント(イン側によるところ)にスッと狙い通りのラインと姿勢で持っていける。立ち上がりはステアリングを戻しながら、加速。リヤタイヤのグリップ感を確かめながらアクセルを踏み込んでいく。そんな普通の走り、あるいはスポーツドライビングがごくごく自然に行える。

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これまでのND(RSも)はコーナー入り口で拳ひとつ分くらいステアリングを切り始めても反応が鈍く、遅れてゆるりとコーナリングを始め、コーナー出口でステアリングを戻しきれないままアウト側まででていき、直線に入ってからステアリングをまっすぐに戻すような動き、すべてがオブラートに包まれ、節度ないハンドリングだった。クリッピングポイントではスポーツカーとしては蛇角もロールも大きく、ブッシュが動くのか、ムズムズとトー変化が大きかった。『乗り心地重視でノーマルだから仕方ないか』と思う一方、リヤの接地圧が路面と関係なく一定しない違和感は拭えなかった。直進安定性が低かったことも大いに不満だった。

 

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ところがNR-Aは違う!高速走行でもしっかり真っ直ぐ走る直進安定性がある。だからコーナーリングもピタリと決まる。スポーツカーというか、クルマにとって非常に重要な基本性能をしっかりと見直ししてきたことがハッキリと感じられる。

ブレーキもいい!効きも良いし、踏み加え、抜きのコントロール性も向上した。

 

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 冷却フィン付きデフケース、強化トルセンLSD、ビルシュタインCリング車高調整式スポーツダンパー

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 大容量ラジエターでスポーツ走行時の冷却性能アップ。フロント サスタワーバー、トンネルブレースバーでボディ補強

<すべてが見直されたNR-Aのメカニズム>
どうしてこれほどまでにNR-Aは進化したのか?
私が大きく進化を感じたのはボディのしっかり感。サスペンションのしっかり感、駆動系のしっかり感だ。
つまりNDはNR-A登場から、全体的に『とてもしっかりとしたクルマ』になった。
まずボディがいい。ボディ補強としてフロント サスタワーバー(ストラットタワーバー、エンジンルーム内のV字型のバー)、トンネルブレースバー(ロワアームバー、フロア下側から見た部分のバー)などが入り、しっかり感が増している。これらは重量増となるが、NR-Aは余計な豪華装備は省かれているので、1010kgと軽量だ。大径ブレーキまで奢って、この重量は立派なものだ。これらの補強によってボディがしっかりしたことでサスペンションがとてもスムーズに動いている。NR-Aはバネレートも上がっているがむしろSスペシャルパッケージより柔らかくしなやかに感じるほどだ。ND発売から僅か5ヶ月でこの改良はこれまでにロードスターを買ったオーナーはかなり悔しいと思われるが、この補強とNR-Aサスキットの装着は流用候補のひとつとして注目だ。
そしてもうひとつ、NR-Aは電動パワーステアリングのセッティングが異なり、よりシャープなものとなっている。この効果も大きい。これも是非、他のモデルにも流用してほしいものだ。

そして駆動系のしっかり感。これはNR-Aが輸出用2.0リットルモデルのものと思われる強化ドライブシャフト&プロペラシャフト、強化トルセンデフ、強化P.P.F(パワープラントフレーム)を採用していることに起因すると思われる。
『そんな僅かな違いがわかるはずもない』と思っていたのだが、RSやSなどと再度乗り比べてみてもこのNR-A試乗車の『駆動系の硬質感』は感じられた。シフトフィールも心なしかカッチリ感が増したように思われた。これだけ質感の高い走りなら、他のモデルにも是非、拡大採用してほしい。

 

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<NR-Aが見せたND熟成の可能性>
NR-AはFRスポーツカーとして、ロードスターをこよなく愛してきたユーザーに『これぞロードスターだ!』と思わせる資質をもったモデルだ。『やっと納得のいくNDロードスターに出会えた』という人もきっと増えるに違いない。
NR-Aは来年度から始まるパーティレースIIIをはじめ、数多くのワンメイクレースなどで活躍する予定だ。イコールコンディションで展開されるレースだけに初期モデルのNR-Aのセッティングレベルには注目していたが、完璧とは言えないまでもひとまず納得いく走りにまとまっていたことにホッとした。このセッティングなら、FRスポーツカーとして、昔からのロードスターファンでも納得するだろう。
しかし、エンジンのアクセルに対するレスポンス遅れだけはまだ残っており、特に街中でよく使用する4000回転以下でのアクセルの『ツキ』と回転落ちに不満が残る。まだまだ熟成してほしいポイントだ。
NR-Aの登場によって、これまでのNDもチューニング次第ではNR-Aに近いシャープな走りを楽しめるであろうことが解った。NDは後退したドライビングポジションや電動パワーステアリングの全車採用など、これまでのロードスターと異なるフィーリングを感じ、歴代ロードスターのように後からのチューニングでは補いきれない部分があるのではないか!?と不安があったが、『チューング次第ではいい車に育つ』ということが今回の試乗で実感出来た。

『NDロードスターをどう育てていくのか!?』
『育てる』とうのはお金をかければよいなど、過保護に甘やかすことが必ずしも良い結果をもたらすことではないのは人もクルマも同じであろう。これから10年、20年、それ以上とロードスターあるいはライトウェイトFRスポーツが生きていくために、何が必要なのだろうか。やはりそれは『基本に忠実な走りとクルマ作り』これにつきると思う。
もし、マツダがその道から外れそうになった時には、時に厳しく、ロードスターに対して率直な意見を述べることも必要だということを我々ユーザーも忘れてはならない。

『ロードスターの未来は世界のライトウェイトFRスポーツの未来に大きな影響を与える』
ちょっと大げさかもしれないが、ロードスターとはそういったベンチマークとなる立ち位置にいるクルマ。
世界に誇るべき『日本の宝』のひとつなのだ。

 

自動車研究家
出来利弘

 

NDロードスター研究
2015年3月 NDロードスタープロトタイプ試乗
2015年5月 
NDロードスター試乗記『ND新時代の到来』
2015年9月 マツダロードスターND NR-Aを研究する

MAZDA ROADSTER NR-A 公式サイト:http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/nr-a/
MAZDA ROADSTER PARTY RACE 公式サイト:http://www.party-race.com

マツダロードスター ND NR-Aを研究する

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マツダロードスター (ND) NR-A 

9月5日(土)NDロードスター NR-A(1500cc) が第26回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース会場となった
筑波サーキットパドックにて公開された。

追記:10月15日に新型ロードスターNR-A(ND型)を264万6000円(税込)で発売すると9月24日にマツダから正式発表されました。

追記:11月24日に新型ロードスターNR-A 試乗 インプレッションの記事を追加しました

NDロードスターNR-Aはパーティレースやチャンピオンレースなどナンバー付きワンメイクレース出場を目的としたユーザーに向けて開発されている車両。歴代NB、NCのNR-Aは、そのレギュレーションからエアコン、パワーステアリング、パワーウインドなどの快適装備を備え、ロールバーを装着してもホロの開閉が可能。他のモデルに対して多少ハードなシャシーセッティングとはなるものの、一般道での乗り心地も十分に考慮されたものだった。おそらくNDのNR-Aもその性格を踏襲したものとなるであろう。

ND NR-Aは言わば、輸出用 MX-5(ロードスター)2000ccモデルのシャシーに1500ccエンジンを搭載したようなモデルだ。
排気量の大きなモデルのブレーキ、ラジエター、補強バーなどを流用することで安価で高性能なアップグレードとして、サーキット走行での信頼性を上げる方法はNBロードスター時代に1800ccモデルのシャシーに1600ccエンジンを搭載して完成させたNR-Aの成り立ちを彷彿とさせる。更にビルシュタイン製ダンパーは車高調整式となっており、これはNCロードスターNR-Aが取った手法だ。

シンプルなエクステリアにはアークティックホワイト(ソリッドホワイト)が良く似合う。
 

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Aピラー、ドアミラーは他のグレードと同じくブラックアウトされ、助手席側に赤い競技用牽引フック(オプション?)が確認できる

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リヤにも赤い競技用牽引フックを装備

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 バックランプベゼルはS同様になし。ハイマウントストップランプ・カバーはブラックに改められる

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ホイールは新しいシルバーカラーで差別化。
6.5J×16インチ軽量デザイン。

ブレーキローターは前後共に1インチ大型化。
キャリパーはこれまでと同じ?

装着されるタイヤは純正と同じアドバンスポーツ195/50R16だが、レースのレギュレーションでワンメイク化されるタイヤはまだ明らかになっていない

 

 

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NDロードスターNR-A のフロントサスペンション周り。
アルミ製フロントダブルウィッシュボーンのサスアーム、短めにデザインされたブレーキホース、スタビリンクなど、タイトな空間に巧みにレイアウトされる。
 

ビルシュタイン製ダンパーはNR-A専用品。Cリング車高調整式となっており、車高を低めにセッティングしたり、前後バランスを調整することも可能

 

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強化スーパーLSD(トルクセンシング式)を国内初採用。冷却フィンが追加され、LSDの効き自体も強化される。

P.P.F.(パワープラントフレーム)も強化品となる。

これらは輸出仕様2.0リッターモデルからの流用品と推測される

 

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NDロードスターNR-A のリヤサスペンション周り。
マルチリンク式リヤサスペンションを採用。

リヤもビルシュタイン製Cリング車高調整式ダンパーを採用。リヤスタビライザーは標準装備。

ドライブシャフトは強化品となる

これらも輸出仕様2.0リッターモデルからの流用品と推測される

 

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NR-A専用のトンネルブレースバーは確認できるか!?

ボディ剛性の強化が図られる。

P.P.F.(パワープラントフレーム)は奥上方。

こちらは更なるダイレクト感とトラクション性能向上となる

 

 

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エンジンはSKYACTIV-G 1.5リットルDOHCエンジン。ロードスター専用設計の131PS ハイオクガソリン仕様でNR-Aとなっても仕様変更はない。初採用となるストラットタワーバーが目を引く

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NR-Aは専用の大型ラジエターを採用し、冷却性能を向上させている。残念ながら写真では確認できないがフロントフレーム下あたりに設置される。

 

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NR-A専用ロールバーが展示車には装着されていた。NCモデルとの比較では今回からサイドバーが標準装備されたが、足元は乗降性に配慮したデザインとなっている。またヘッドレスト後方には斜めのバーが追加された。
 

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NDは法規の関係からこの説明が印刷されたサンバイザーを
ロールバー装着時に取り外すことは出来ない

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撮影車にはBRIDE製フルバケットシート、
TAKATA製6点式シートベルトが装着されていた

 

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シンプルな印象のNR-Aのインパネ周り。
サテンシルバーメッキだった部分がシンプルなつや消しシルバーとなり、エアコン吹き出し口周りはピアノブラックのみとなった。
本革巻きステアリングを採用しているが、ステアリングスイッチ類は省略され、スポーツカーらしいシンプルさを取り戻した。

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 シフトノブ&サイドブレーキグリップはウレタン製

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シフト周りはマットなシルバーリング。USBジャックはフタ付き。マニュアル式エアコンはブラックプラスチック製でスポーティ

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  ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム(D.S.C.) 横滑り防止機構&トラクション・コントロール・システム(T.C.S.)を標準装備。OFFスイッチでカット可能のようだが完全OFFできるスイッチであってほしい。

ドアパネルはボディ同色パネル、ステッチ入りレザー張りと純正モデルと同じく豪華なままだ

 

 

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ロールバー装着オープンのリヤスタイル

 

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新型マツダロードスターNR-A 
1500ccとなって初心者やレース復帰組にとっても扱いやすいパワーのナンバー付きワンメイクレースが
いよいよ2016年から開催されるのか!?

NDロードスターというオープンカー、しかもFR車で楽しめるのはとても魅力的だ。

NR-Aの走りと来年からのレースレギュレーションに注目が集まっている。

 

自動車研究家
出来 利弘

 

追記:11月24日に新型ロードスターNR-A 試乗 インプレッションの記事を追加しました

NDロードスター研究

2015年3月 NDロードスタープロトタイプ試乗
2015年5月 
NDロードスター試乗記『ND新時代の到来』
2015年9月 マツダロードスターND NR-Aを研究する

MAZDA ROADSTER NR-A 公式サイト:http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/nr-a/
MAZDA ROADSTER PARTY RACE 公式サイト:http://www.party-race.com

 

NDロードスター試乗インプレッション『ND新時代の到来』

 

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新型NDロードスターに試乗した。

3月の市販プロトタイプ試乗記を書いてから2ヶ月。市販バージョンを5月20日に正式発表、21日発売となり、 新型マツダロードスター NDの全てのグレードに試乗する機会を得た。最もベーシックなS (990kg) 6MT 249万4800円、Sスペシャルパッケージ (1030kg) 6MT 270万円、Sレザーパッケージ 6EC-AT(アクティブマチック、1060kg) 314万2800円の3台でS以外はi-ELOOP+i-stop装着車

私はロードスターをNA(初代)、NB(2代目)、NC(3代目)と何台も乗り継いでいて、本当に好きなクルマのひとつ。先代NCロードスターの2.0ℓ170PSに対して、新型NDロードスターは1.5ℓ131PSエンジンへと排気量とパワーが絞られているがボディやサスペンションなどアルミを多岐に渡って使用するなどコストをかけた軽量化技術が投入され、最軽量モデルのSでは車両重量990kgを達成している。全幅は歴代でもっとも広い1735mmだが、全長は3915mmと歴代で最も短くコンパクトとする割り切った設計とするなど新世代ライトウェイトスポーツの理想を目指したマツダの意欲作だ。

NDロードスターのデザインは内外装の質感の高さと相まって歴代ロードスターの中で『大人のスポーツカー』を最も意識するモデルだ。野生動物、チーターを彷彿とさせるものとし、フロントノーズ先端部は低く、ワイルドだ。実際のクルマよりも大きく、存在感がある。一方でリヤはワイドに張り出したフェンダー、上部をコンパクトに絞り込み、シンプルな丸いテールランプを配置するなど愛らしさとコンパクトさが感じられるデザイン。両極端な2面性を持ち、サイドビューは特徴的な『逆ウェッジシェイプ』を描き、上部から見ればディアドロップ形状にも見えるような躍動的で抑揚のあるデザインを採用している。これまでより1クラス上のスポーツカーや輸入車を所有していたユーザーが思わず振り返るそんな存在感のある独特のデザインだ。『格好良く、ちょっと都会的でオシャレ』という今のマツダブランドを象徴するモデルと言えるだろう。


<とにかく乗りやすい新世代ロードスター>

NDロードスターの『走り』を一言で表現するならば『誰もがライトウェイトFRオープンスポーツの走りを気軽に楽しめるクルマ』スポーツカービギナーにとってエントリーしやすく、間口の広いセッティングだ。これまで歴代ロードスターがもっていたクイックなステアリングやダイレクト感溢れるシフトやスロットルなどによる楽しさ。これらと引き替えに持っていた乗りにくさ、扱いにくさといったネガティブな面(これらはほんの僅かだが)を徹底して改善に次ぐ改善を行い、とにかく乗りやすく、みんなにスポーツカーの気持ち良さを感じられるようにと、今のマツダが考えるライトウェイトスポーツのあるべき姿を具現化したモデルだ。誤解を恐れずに言えばちょうど先日、提携関係を結ぶと発表されたトヨタ的な親しみ易さがプラスされたロードスターとも言える。
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<エクステリアデザイン>

キリリとした鋭いデザインは歴代ロードスターとは一線を画すもの。小型LEDライトの採用により、精悍なイメージとなり、フロント部の存在感は歴代で最も大きい。ボディ面の質感がとても高く、上質なプレミアムカーに迫る雰囲気が漂う。ただし、量産市販バージョンは車高が少し上がり、ホイールハウスの隙間が30mm程度広がった。ボンネットとフロントフェンダーとの隙間も若干広がり、白いボディカラーでは少々、気になるというのが正直なところだ。

 

<NDロードスター 公道インプレッション>

ベーシックなSに乗り、ギヤを1速に入れて走り出す。ボディの軽さを感じさせる軽快な走り出しが爽快だ。エンジンもフリクション感が少なく軽快に回り、乾いたエキゾーストノートと息の長い加速感が続く。シフトフィールはスムーズで各ギヤに吸い込まれるようにシフトアップ出来る。速度がスルスルと上がっていくスムーズさ、軽やかさが印象的な爽やか系の走りだ。もし初めてオープン2シーターに乗るという人は今まで知らなかった風を感じながら走る世界に夢中になることだろう。サスペンションはしなやかに路面を捉え、軽量スポーツカーにありがちなコツコツとした突き上げや硬さは感じられない。まさに『大人になったロードスター』であり、あたりはとても優しい。クルマの動き、ロール量は大きめに設定され、アグレッシブなフロントデザインやセンターにタコメーターを配置するレーシーなコクピットから想像するよりもずっと洗練された走りで普通にロードスター感ある走りを堪能できる。
エンジン、ミッション、デフレンシャルギヤを含め不快なノイズがよく抑え込まれ、パワートレイン系の質感の高さが感じられる。エンジンは低速、中速、高速とどの回転域でも扱い易く、フラットなトルク特性。ギヤ比のセッティングはちょうど歴代5MTのロードスターに近いものに6速がオーバードライブで追加されているようなイメージ。NB、NC時代の6MTのように急かされる感じはない。回しても流してもちょうど良い、絶妙なセッティングだ。このギヤ割りは良い。発進時とシフトアップした直後のトルク感も上々で車体をグッ、グッと前に押し出す。その後、落ち着いてから伸びるように加速度を増す特徴的なセッティング。まさにNDのボディサイドデザインのようなグッ、ギュ、プォーン!っという感じの加速で車速が乗っていく。

このSとATモデルはリヤスタビライザー、トルセンLSDが未装着。以前、市販プロトタイプバージョンに乗った時には着座位置が後ろであるためかリヤが回り込む際に違和感を感じたが、今回の量産モデルはNA、NB、NCからでもそれほど違和感ないように進化している!またコーナリング時にSスペシャルとの明確な違いはプロトタイプの時ほど感じられなかった。僅かにSスペシャルのロール剛性が高く機敏なのかな?と思った程度であり、よほど敏感なドライバーでない限り、街中ではその走りの差に気が付かないだろう

今回の試乗で最も驚いたのは6AT仕様の完成度だった。スポーツ走行のようなシーンではもちろん、6MTの方がダイレクト感は上で適しているが、街乗りに関してこの6AT仕様モデルの走りも素晴らしいものだった。デュアルクラッチ、CVTなどある中、このトルコン式ATはシフトダウン時のブリッピング(空吹かし)も的確に決まる上、ロックアップ領域を広げるなどのセッティングが功を奏し、使い易いパドルシフトでついつい回して楽しんでしまうほどの走りの良さを実現している。このしなやかな足廻りやハンドリングには6ATの方が『走りのリズムが合っている』と感じられた。


<現代の燃費性能を持ち合わせたスポーツカー>

また試乗車は高負荷での走行が続いているであろうにも関わらず、燃費計は12.6km/ℓを指していた。走行フィールから推測すれば日常燃費は14km/ℓ以上くらいでは走れるだろう。これは街乗りで10km/ℓ程度とスポーツカーとしては比較的低燃費だった先代までのロードスターからの更なる大きな進歩である。この抜群の燃費性能と走りの楽しさの両立がNDロードスターの最大の魅力だ。長時間乗れる機会があれば実測燃費も計測してみたい。




エアバックは世界最小サイズ。ドライビングポジションは自然で乗りやすく、車両感覚も掴み易い。先代NCはやや斜め後方が確認しづらかったが、NDは視界も良好。本革シート、ファブリックシート共にホールド性が高く、座り心地は良好だ。
ドアトリムパネルは上部がボンネットデザインとつながる新しいデザインテーマだがボディ同色で各色設定される!(なかなかコストがかかるこだわりだ)。レザーが張り込まれた内張りは大人の雰囲気でデザインされ、高級感に溢れる。ただしこのドア、開ける際には要注意!あまりに軽い操作感で、いきなりドバーッと全開になってしまうことがあり、隣のクルマや壁にドアパンチしてしまいそうだ(笑)。もう少し中間で止まるように早期改良を望みたい。



最近のマツダ車の例に漏れず、ペダルは自然な配置、長時間走行でも正確なアクセルワークが行い易いオルガン式を採用。ただスポーツドライビングにおけるヒール&トゥはでは吊り下げ式の方がより繊細にアクセルコントロールし易いのではないか?とも感じる場面もあった。フットレスト後方の膨らみは触媒を避けるため



細身のステアリングの形状、本革の質感、感触がとても良い!ステアリングスポークのシルバー部まできちんとデザインされている。電動パワステは軽めのフィーリングが好きなユーザーは慣れれば問題ないレベル。ただし切り始めのカチャっとなる感じと中立付近での曖昧なステアリングフィールはせっかくのFRなのだから、もう少し熟成して欲しい。



シフトノブは初の丸型形状、本革の質感が良い。ギヤ比のセッティングは絶妙で長年ロードスターを作り続けてきたマツダのノウハウが詰まっている



メーターはロードスター初のセンターメーター。インジケーターの液晶表示やメーターリングなどの質感は高く、センターメーターというとレーシーな雰囲気でありながら、上級スポーツカーに乗っているかのようなやすらぎと高級感がある。




運転席に座ってボンネット裏のボルト&ナットがむき出しに見えるのが気になる。86/BRZやZ34などでは上手く隠されていて気にならないがNDはメーター脇からまる見え。プレミアムを名乗るなら、カバーをつけるなど対策して欲しい。

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プロトタイプで私が感動したボンネット内のボルトを隠すカバーも国産コンパクトカーに用いられる一般的なラバーに変更されている。量産ではボンネットとフロントフェンダーのクリアランスが広がってしまったため?内部の前側のボルトが外から見えてしまう。ホワイト系ボディでは目立つのがプレミアムカーとしてはちょっと残念。これもロードスタークラスとしてみれば笑って許せる範囲か

 





インパネの質感はプラスチックは一般的な質感だが、これくらいがロードスターらしくて好印象だ。Sとスペシャルパッケージはこれが標準。レザーパッケージはレザー張りとなり、ステッチも入りプレミアム感がアップ。グローブボックスはスペースと軽量化のために設定されていない


追記:SスペシャルパッケージではAUX、USBなどのジャックはシフトノブ前に2つあり、Sでは未使用時のためのカバーがある。スポーツカーではほとんど使わないユーザーもいるので上級グレードにもカバーが欲しい

 

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車両説明書などはセンター後方のボックスに収納される。奥行きがあり、かなり使える



助手席後方に隠されているETC挿入BOX




最新エンジンSKYACTIVが載ったのは歴代ロードスター初。1.5ℓは完全フロントミドシップに搭載されている。エンジンルームはオーナーが楽しめるようにとアルミのフラットなカムカバーが設定されるなど工夫されている。吸気はフレッシュエアが導入できる好位置に配置するなど長年ロードスターを作り続けたマツダならではの洗練されたデザインのエンジンルームだ。左右のフェンダーでっぱりはダミーなのでストラット上部までの距離はかなりある。

エンジンは1500ccのプレミアムガソリン仕様でND専用チューニングによって131PS/ 7,000rpm、15.3kgf・m/ 4,800rpmを発生。鍛造クランクシャフトを採用し、レッドゾーンは7500rpmと高回転化を可能とするSKYACTIVシリーズで最も自然で気持ち良いエンジンだ。全体として静かでエンジン音より乾いた排気音が軽快に聞こえてくる。軽快な吹け上がりはもちろん、吹け落ちも素早くなり、スポーツドライビングへの気持ちを熱くさせる。軽量フライホイールの効果もあると思うが、これらはプロトからフィーリングは大きく進化。現代の厳しい排ガス規制の中、このエンジンお吹け落ちのスピードは納得のいくものだ。『現代に求められるエコ性能の基準をクリアした上での軽快な吹け上がりの実現』言葉にするのは簡単だが決して容易なことではない。マツダの技術者たちの情熱(執念?)を垣間見れる部分だ。



テールはかなり絞り込んでいてコンパクトで優しい印象。NAと比べても上部はかなり絞り込んでいる




トランクは開口部が歴代で最も狭いですが、深さがあり、飛行機の機内持込サイズのバックが2個収納可能。トランクリッドもアルミ製。




歴代ロードスター大好きな私ですが、「今、NDロードスターを買うか!?」と聞かれると現状ではまだその気になれない。今ひとつピリッ!としたモデル、あるいはベース車として手頃な価格のモデルがないからだ。
今回のNDロードスターは次の10年に向けて販売していく計画で順次魅力的なモデルが追加される可能性がある。海外では2.0ℓで160PSモデルも存在し、これはきっとブレーキ、ミッション、デフなども強化されたモデルだろう。日本向けに発売されるとすればNB時代に習って考えれば『RS』というモデルとなり、ビルシュタインと大径ブレーキ、大型ラジエター、フロア補強が追加されるのであろうか。グローバルカップカーのベースとも言えるこのモデルの存在はとても気になる。


この2.0RSがあるとしたら、その装備で1.5ℓを積んだモデルは『NR-A』となって発売されるのだろうか。パーティレースのベース車がいつ発売されるのか?メディア4耐あたりで公開か?もし出るならばスタビ、トルセンLSDが装備され、装備はシンプルであろうこのモデルも気になる。更にRHT(リトラクタブルハードトップ)モデルも追加されるのでは?という噂やクーペ(クローズド)モデルもありそうなデザインにも見える。また兄弟車でフィアットかアルファか、アバルトからのバージョンが出そうなことも気になる。もしそれが噂通り1.4ℓターボで出るなら、NDに1.5ℓターボモデルなどはでないのか?トヨタとの提携によって、トヨタからも数年でロードスターの兄弟がでるのではないか!?など妄想は膨らむ。これからの展開が楽しみだ。





私は26年前、デビューしたばかりのユーノスロードスター(初代NA6CE)のスペシャルパッケージを買った。しかしそれはサスペンションがソフト過ぎて走りに特化していた私は我慢ができず、KONIとレーシングビートサスを入れて乗っていた。峠ではビスカスLSDの効きの弱さに閉口し、機械式LSDが欲しい!バケット欲しい、エンジンチューンしたい!と思っていたところでM2が発売され、ショックを受けた。その2年後に中古のM2 1001に出会い、乗り換え、今まで20年以上乗っているといった経験がある。
その後、ロードスター2台所有した際もNB8CはRSモデル、NB6CはTD-1001R、NCはNR-Aだった。その時もSやスペシャルパッケージは存在していたが、私が選択したのはスポーティモデルだった。だから『オレのND』はまだ発売されていないのだ。ここで買っては26年前と同じ過ちにまた後悔することだろう。NA時代の苦い経験は忘れません(笑)。

NDは『歴代も最もコストと時間をかけて開発されたロードスター』として歴史に残る存在になるだろう。いつかは所有してみたい気持ちもあるが、現状NDのラインナップモデルはかなりソフトなタッチであり、すべての操作に対して『オレとしては』スポンジーに感じ、正直NAのようなシンプルなダイレクト感は得られなかった。もちろん、近年のマツダ車SKYACTIV軍団の中では最もダイレクトでスポーティなのだが、クラッチやステアリング、ブレーキング、アクセルなどどのように操作しても『普通に走ってしまう』ことが不満という、なんとも贅沢な悩みなのだが、私がロードスターに求める感覚とはまだ一致していない。
一方で
『この親しみ易さこそロードスターだ!』『オレには十分に刺激的!』と感じられる人にはこれがベストであり、エントリーモデルとして『FRやスポーツカーは敷居が高い』と感じていた人にとってはステップのひとつとして買っても良いモデルだと言えるだろう。そして『もっとピリッ!とした走りが欲しい!』という私のような人たちに対してはきっとマツダがRSやNR-A、または低価格ベースモデルなど、遠くない将来に出すことを考えてくれるであろう。

今はこのFRライトウェイトシャシーをマツダが開発し、発売してくれたことを素直に喜び、今後の改良と熟成、そしてスポーツ走行が大好きなロードスターファンが欲しくて堪らなくなるような追加モデルを期待したい。

最後に今回貴重なND試乗の機会をいち早く与えてくださった湘南マツダ平塚店のみなさん、ありがとうございました!早速 S スペシャルパッケージを乗せてくれた友人にも感謝です。ありがとう!

関連情報URL : http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/?link_id=rsmag06

 

自動車研究家

出来 利弘

 

201592053229.jpgのサムネイル画像

追記:やはりNR-Aはあった!

 NDロードスターNR-Aを研究するレポートを追加

 http://www.d-technique.co.jp/magazine/2015/09/-nd-nr-a.php



 

ホンダS660 試乗インプレッション『S660の価値は世界唯一の存在』

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HONDA S660に試乗した。2015年4月2日(木)に正式発売となったS660。試乗したαは218万円(税込)、βは198万円からだか走行性能に関する装備は共通。私はホンダビートとマツダロードスターと2台所有していた時期がかなり長期間あったので、久々に出たホンダのコンパクトミドシップスポーツに興味深々だ。

乗った感想を一言で言えば、『痛快ハンドリングマシン!』
小さなスーパーカーといった感じ。

S660は見るだけでワクワクし、クルマの周りには常に人だかり、カーマニアはもちろん、普段クルマに関心を持たないような一般の方々、通学途中の子供たちなどが寄ってきて「格好いい!」と言いながらずっと観ていた。
そう、まさしくスーパーカー現象。一般ディーラーの前でこんな光景を見たのはいったい何年振りだろうか。

格好良く、新しく、ちょっと可愛い。そしてそのサイズ感がどこか親しみ易い。
この感覚、これから先もずっと何年も続くのか?今だけなのか、それはまだ解らないが、今、この瞬間だけを捉えてもこれだけ、多くの人を幸せにしたのだから十分に価値あるクルマだ。
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こんな格好いい、超コンパクトなスーパーカーが動くこと自体に感動する。
しかもそれは世界の頂点、F-1の世界で戦うホンダにしかできないパッケージングで完成されているものだ。
『S660は世界唯一の存在』そこにこのクルマの大いなる価値がある。


街行く人が振り返り、近寄ってくる。
フロントボンネットとエンジンフード開けた姿も格好いい



モーターショーで展示されたデザインコンセプトのイメージの再現度はかなり高い。
それを全幅1475mmという軽規格内で達成するレイアウト技術は世界屈指のもの。
これならワインディングでアウトインアウトのライン取りも自由自在だ。

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低いボンネットとこのリヤデッキデザインはラゲッジスペースをほとんど持たないことで実現したデザイン。
フロントフード内は幌をしまうスペースがありますが、とても薄く、ラジエター直後のために熱を持ちますので手荷物は車内にしかおけないでしょう。身長170cmくらいのドライバーなら、シート後ろに薄いバックくらいなら置けるか?
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絞り込まれたテールデザイン

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ビート、ユーノスロードスター、S660

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特徴的なドアノブが嬉しい。キーホールはかなり小さい


モーターショーのコンセプトカーを忠実に再現したドアミラー


コンパクトなヘッドライトはLED

テールもLED。未来的な造形でフロントとの統一感がある


センターマフラー!これは近年の国産市販車では稀少。


控えめなリヤスポイラーは速度が上がると可動するものが装着されていた

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インテリアは未来的な造形でコクピット感覚に包まれる。
これもコンセプトカーのイメージにかなり近い


メーターはデジタルスピード計とその周りを囲むように9000rpmまで刻まれたタコメーター。
レッドゾーンは7700rpmから文字の書体が優しい雰囲気でクルマのキャラクターに合う



スイッチパネルの質感も上々。ハザードスイッチなどタッチも良い


助手席前のソフトパッドは適度な質感でスポーツコンパクトらしい


USBジャックカバーがあり、スマートにデザインされている。
手前にはスマートフォンなどを置くスペースがある
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着座位置は低くドラポジがピタリと決まるコクピット。普通車のスポーツシートとして評価してもクッション性、ホールド性、共にノーマルとして申し分なく、妥協が感じられない。

革シートの質感


ステアリングの質感はデザイン、握り共に写真から想像するより、実物は良い。
カーボン調パネル類の質感などもちょうど良いライトな雰囲気。
電動パワステのフィーリングはとても自然でフィット流用とは思えない

軽自動車初となる6MTはギヤ比が実に適切で実に気持ちいい。これでクロスミッションのまま、6速化によって高速巡航への対応も可能。シフトフィールは横置きエンジンであるにも関わらず、スムーズでダイレクト感のあるもの。




クラッチは適度な重さで扱い易い。吊り下げ式のアクセルとブレーキ。ヒール&トゥーがし易いのがとても印象的だった。特にブレーキは素晴らしい制動力!
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カーボン調ドアパネはプラスチックで、質感はそこそこ。オプションで質感をアップさせるパーツがある。
ドアの開閉音はしっかりとして上質な音に作り込みされている
201545101244.jpgしかしこのくらいのプラスチック感がちょうど良いのかもしれない

P/Wスイッチとリヤクォーターパネルウインドも電動P/W!
開けるとエンジン音がダイレクトに入ってきて、レーシーなサウンドを楽しめる
もちろん換気にもなり、エアロボードのように風量を調整できる。
閉めれば静かで快適。助手席との会話も問題ない。

屋根を閉めてここを開けた時がもっともエンジンサウンドが大きい!
こんな遊び心のあるスーパーカー装備が標準とは実にホンダらしく素晴らしい。
(私なら仮に10万円オプションでも装着するだろう)

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エンジンはミドシップ(運転席の後ろ)に搭載。横置きで少し搭載位置は高め。エンジンサウンドはDOHC3気筒ターボだが1300ccNAのようなフィーリング。スペックから想像するより普通なサウンドだが、16インチタイヤ(なんとアドバンネオバ!)をクロスミッションを活かしてグイグイと加速させる!レッドゾーンの7700rpmまでグィーン!という加速サウンドとシフトアップ時にはプシュ!というブローオフバルブのサウンドが楽しめる。5500rpmから最後は詰まり気味で(64PS自主規制のため?)、普通に乗るには嬉しいレギュラーガソリン仕様だが、これをハイオク仕様にして、マフラーとコンピュターで100PSくらいすぐにチューニング出そうなポテンシャルを持ち、それを封印しているかのように感じられる。

エンジン横スレスレのがっちりストラット周りと前後に貫通したボディフレームが頑丈そうで作りの良さに感心。
アルミサブフレームも仕様され、サスペンションの高い取り付け剛性を確保。ミドシップらしいリヤの接地性の高さと本格的なスポーツ走行に大きく貢献するだろう

サイズや質感のわかる写真

エリーゼが大きく見え、デザインの質感では負けていない


アバルト500と並んでも堂々としたサイズ感と質感が解るだろう


NAロードスター、マーチ、ベゼルとの並び

 

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S660の走りは基本に忠実で素直なものだった。まさに楽しいスポーツカーへの直球勝負!走りのため、格好よさのために潔く割切られている。しかしその走りはホンダ往年のタイプRのようなカリカリではなく、穏やかにゆったり流して走っても楽しく、サスペンションはしなやかなものだ。コーナリング入口では荷重移動をそれほど意識しなくても曲がれる。ドライバー中心に旋回を開始する感覚はFR的でコーナリング開始後はエンジン重心位置の高さを感じるものの不安感はない。それはビート時代になかった新技術!横滑り防止装置によるところも大きい。ある意味、誰でも扱い易いコンパクトミドシップカーの登場だ。クルリと回ればガツン!とアクセルONで、ミドシップらしいトラクションがかかるメリハリのある走りが可能だ。
大げさに言えば、街中を全開でゴーカート感覚で駆け抜けられる!しかし、そんな気分でも違法なスピードまで上がらない範囲に収まる絶妙なパワーとギヤ比のセッティングだ。あと少し低いギヤ比ではガーガーとエンジンが唸って、いつまでも速度が乗らない車になる。速度の乗りはユーノスロードスター1600(NA6CE)と同等レベルかちょっと遅いか?と言った感じだ。

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繰り返すがこのカタチ、このコンパクトさ、この走り感は世界唯一のものであり、完成度はかなり高いもの。正直、期待したほどパワー感がない!アクセルオフしても回転の落ちが遅いなど、細かいアラを探せば足らない部分があちこち見えるが、それはオーナーが買ってから手を加えることできっと改善できるのではないかと思う。

ショーモデルをそのまま市販してしまったようなこのホンダの割り切り、潔さに驚き、関心し、感動が今も絶えない。ショーモデルを作るのと市販するのはまるで異なるからだ。

私はこいつに本当にエンジンが載って、みんなが買える値段と信頼性を持って街を走るところまで来るとは思ってもみなかった。そういった意味では奇跡のクルマだ



S660 6MT カーニバルイエローⅡの試乗車に乗せてくれたホンダカーズ神奈川北 麻生店のみなさん、ありがとうございました!

関連情報URL : http://www.honda.co.jp/S660/

 

 

 

自動車研究家
出来 利弘

 

NDロードスターの市販プロトタイプを初試乗

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Mazda Roadster Thanks Day in JAPAN 2nd に参加し、新型NDロードスターに試乗しました。
 
軽快感のあるスッキリした乗り味は予想以上に『良かった』
これがNDロードスターを乗った私の正直な感想だ。NDは歴代ロードスターの乗り味の延長線上にあることは間違いなく、進化もしている。
何に似ているのか?と問われればNCロードスターにコストをかけて軽量化と質感向上、熟成に時間をかけたモデルという印象だった。私はNCを『スーパーロードスター』であると語りNC研究ブログも書いたがNDはさらにスーパーとなり、これまでのRX-8あるいはRX-7クラスではないかと思うほど各部のクオリティを高めてきている。もちろん、1500cc のNAであるから、加速性能自体はそれなりだがドラテクを練習するには速すぎたNCからすれば適正とも言える。
 
乗った第一印象、それはまさにプレゼンであったこのグラフがNA NB NC NDという歴代ロードスターの立ち位置そのものを表している。
 
201532203631.jpgNDロードスターを一言で表現すれば、このグラフのイメージ通りのクルマだ。『魂動デザイン』、『SKYACTIVテクノロジー』という2つの時代をリードする武器を得たマツダがこのタイミングを逃さず、その技術を余すことなく投入したモデルだ。歴代ロードスターは旧型エンジンをベースに開発するなど妥協点があったが、NDは最新のエンジンを更にチューニングして載せ、シャシーもアルミを贅沢に使用した新設計。この高いレベルの作り込みはこれまでRX-7、あるいはRX-8の領域であったが、NDはロードスターとしては異例の作り込みによって進化を遂げている。NCでも少しその方向性はあったが今回はレベルが違う。では「NAに近くなったか?」と多くのユーザーから質問を受けたが、それは違う。もしNAに近いクルマであればこのグラフでももっとNAに近づいているだろう。ではNDは歴代ロードスターに対してどれに近いかと問われれば表の通り、最も近いのはNCであるが、その差はかなりある。これは乗った感覚も同じだ。
 
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それもそのはず、NDとNCはホイールベースとトレッド数値はかなり近く、フロントにダブルウィッシュボーン、リヤにマルチリンクを用いたサスペンション形式も同じだ。『やればここまで進化できるのか!』と驚くほど滑らかで、優しいフィーリングを持ち、『いいクルマ感』が増した。
 
ではNA/NBそのものか?それらを越えたか?と聞かれるとそれに対する返答は実に難しい。4輪ダブルウィッシュボーン式とサスペンション形式も異なるしホイールベースもずっと短い。タイヤサイズも異なる。もし点数をつけるならNDがほとんどの項目で上回るかもしれない。それほどNDは真面目に作られ、熟成し登場したモデルだ。
 
26年前、若かったNAロードスター、それが成長してNDという大人のモデルとなり、新生マツダのブランドアイコン、マツダブランドを広めるリーダー的な役割を背負って立つことなった。これまでとは『種類が違う』『背負っているもの、目指しているものが違う』ということを強く感じるのが今回の新型NDロードスターだ。まさに勢いに乗る今のマツダ商品群を象徴するモデルとなるだろう。
 
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エンジンはSKYACTIV 1.5ℓエンジン、ハイオク仕様で鍛造クランクシャフトを採用したND専用チューン。131PSを発生する。完全なフロントミドシップに搭載されており、エンジンルームはスペースに余裕が見られる。エンジン高、ストラット上部位置共に思ったより高くないので、ポップアップボンネットもあるだけにもう少し下げられてたのでは?と思うがそこ2.0ℓエンジンがあるためなのか、抑揚のあるフロントフェンダーデザインのためか?
 
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このクルマはプロトタイプのためフロントフェンダー内側カバーがなく、内部構造を確認することができた。このような形でフェンダー上部を持ち上げ支えられている。因みにこのフェンダー部も軽量化へのこだわりのアルミ製だ。
 
 
 
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もう一台のプロトタイプにはこのようにプラスチック成型のカバーが装着されていた。これによってボンネットとの隙間からエンジンルームのボルト類などが見えないように配慮するなどプレミアムカーに相応しい細部の作り込みがなされている。こういったものづくりが実践されていくのであればマツダのブランド構築は成功し、しっかりと根付いていくとこになるだろう
 
 
<NDロードスターを初試乗>
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やはりクルマは乗ってみないとわからない。
 
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早速乗り込む。ドアは軽く、スッっと開き、乗り込む前からこのクルマがライトウェイトスポーツカーであることを意識させる
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レザーを貼っていないシボ入りのプラスチックダッシュボード。ピュアなライトウェイトスポーツらしさがあり、こちらの仕様もなかなかの好印象。タコメーターがセンターとなる3連メーターとなり、ドライバーに対称な位置に配置されたエアコンルーバーなどによってコクピット感が強調されている。着座位置は低く、ダッシュボード上端の位置は高めだが手前になるにしたがって緩やかに傾斜しているので開放感は高い。ボンネット左右にはフロントストラットのキングピン延長線上にあるというコブが見える。
 
 
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エンジンはプッシュスタートボタンで行う。エンジンが始動するとブォーン!と一瞬吹け上がる演出。軽やかな音に気分が高まる。メータ左の燃料計、インジケーター周りの液晶がシンプルですっきりとしていて、なかなかいい。エンジンを空吹かししてみるとエンジンの吹け上がりは上々、吹け落ちはもうひとつだが、近年のマツダ車、そして他メーカーの車の中では早めの部類に入る。排気音が軽快で1500ccらしい、ピストンの軽さとフリクションの少なさを意識する。
 
 
クラッチの操作性は軽め、シフトを1速に入れるがこちらも軽めで現代のクルマらしく、実に入りやすい。クラッチを繋ぎ、発進する。わざとラフに扱ってもベストに回転を合わせを狙って繋いでも大きな違いはなく、誰でもスムーズに発進可能で扱い易い。タイヤの蹴り出しは軽く、とても16インチのタイヤを装着しているとは思えない軽快さを感じることが出来る。この発進時のトルクの出方、または電制スロットルのコントロールかもしれないが絶妙なセッティングだ。
 
 
まず、本革巻きステアリングの『革』がいい!触れた感触はしっとりとして、高級車に乗っている気分だが、握りは細く、硬質なのでスポーツカーらしい。最初にステアリングを切った感触はアレ?というものだった。中立付近が曖昧で切り込んでもなかなか旋回せず、大きめの舵角で90度の交差点を曲がる。クイックに切れ込むハンドリングが特徴だったこれまでのロードスターのイメージとは異なる。
 
 
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USBとAUX端子の部分はカバーが装着される。他のマツダ車はむき出しのため、使用しないときにずっと視野に入り、気になっていたがさすがブランドアイコン、ちゃんとカバーがついてきた。エアコンリングはブラックとシルバーのグレードがあるようだ
 
 
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直線を加速して2速にシフトアップ、そして回転をそれほど上げずに3速、4速とシフトしてみるが実にスムーズで滑らか。初めてのマニュアル車としても扱い易い。ちょっと肌寒い風を感じながら走る爽快感!段差を越えた際のやさしい乗り味はまさしくロードスターであり、エクステリアデザインのアグレッシブさとは裏腹に普通に『ロードスター』であった。
 
2つめの交差点、ブレーキングでは、ヒール&トゥでシフトダウンするが、オルガン式アクセルペダルはそのペダルの描く軌跡がブレーキと逆になるので、少し違和感がある。エンジンも吹け上がりは良いが吹け落ちのレスポンスに不満が残る。
ステアリングを切り込むと4WS車でトーアウトしているかのようにリヤが回りむ。これは今までのロードスターには感じらなかったもので違和感を感じた。これまでリヤのグリップ感(ある意味アンダーステア感)を頼りにブレーキングして、リヤタイヤの素直な動きを感じ取り、ドライブしてきたNA、NB、NCの感覚とは異なり、一瞬基準となる感覚を失うが、リヤタイヤに近いお尻が旋回しだしてからのオーバーステア感を感じやすい。同じようなサスセッティングであった場合に従来のNC以前のロードスターと比較してコーナー入り口で実際には安定している状態でもシャシーの安定性(アンダーステア感)を感じ取り難く、ターンインでステアリングを切ると実際にはフロントのタイヤがグリップして旋回が始まってもアンダーステア感が強く、大きな舵角を必要とするステアリング特性がそのイメージを増幅させる。ターンインが始まるとズルズルとリヤがオーバーステア感を伴って旋回する感覚を覚えるが実際のアングルは小さく、リヤは過剰に振り出されてはいない。わずか50mmの着座位置変更がこれほど影響するかはわからないが、電制ステアリング、サスペンション、ブッシュ、タイヤ、様々な要主張するハンドリングのイメージ。このリヤステアする新感覚をどう捉えるか?市販までには更なる熟成が進むのか、注目してみていきたい。ステアリングを戻しながら加速、ここでは違和感なく、気持ちよい加速が得られた。
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大きな段差を乗り越え、タイトなコーナーを少し速く旋回してみるとリヤが適度なしなりと緩さを感じさせた。リヤ周りに何か仕掛けがあるのでは?とフロアを撮影したがスタビがないことしか発見できなかった。
 
あとで解ったことだが、試乗したのはセラミックメタリックのSと呼ばれるベーシックなタイプ。
車両重量は990kgでシリーズ中、最も軽量なモデルでマツダコネクトレス、トルセンLSDレス、リヤスタビライザーレスのモデルであった。
 
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プロトタイプ試乗という貴重な機会を得たThanks Day in Japan2 だったが、速度制限もあったため、感じたフィーリングも更にハイスピード域では異なった印象となるかもしれない。
すっきりとした爽快なドライビングフィールが印象的なND初試乗だった。
 
マツダのこれまでの流れを見てもNDが実際に市販されるまでにはまだまだ更なる熟成が行われると思われる。
市販バージョンに乗れる日がとても楽しみだ。
 
自動車研究家
出来利弘
 

NDのデザインを研究する NDロードスター研究 3

 

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<FRはハイパフォーマンスカー的なデザイン>
9月4日舞浜でNDロードスターのデザイン発表会で私たちの前に姿を現した時、先入観なく、直感的に感じたものは『ビックトルク、ハイパフォーマンスカー』のエクステリアデザインというものだった。野獣が今にも獲物に飛びかかりそうなデザイン。躍動的であり、新しい魂動デザインの方向性を示すものであると感じた。同時に『あのボンネットの長さ、厚さならエンジンは直6エンジン?いやいやV6 3000ccくらいか!? いやそんなはずはないから、直4 2000ccエンジンで200PS以上か!?』とも感じた。ロングノーズ&ショートデッキはハイパフォーマンスカーの象徴だからだ。魂動デザインは特にアテンザ以降、Aピラーを後方へと引き、FF車にFR的なプロポーションを与えることで斬新さとスポーティさを演出し、それが『新しいマツダデザイン』として市場から支持を得てきた。今回はどんな提案で来るのか注目される中、FR車であるロードスターも更にAピラー70mm後退させるデザインコンセプトへ変更し、それはハイパワーFRマシンを彷彿とさせるデザインとなった。それは同時にライトウェイトFRの王道を行くロードスターのドライビングポジションとの決別をも意味する。ドライビングポジションは約50mm後退した。これは歴代ロードスター初の試みで新型NDロードスターのデザイン、そして走りをひも解く際の大きなポイントとなる。新しいロードスターのデザインはこれまでのNCまでのものから大きく路線変更した。

プロトタイプ車のホイールベース(-15mm)はNC比較でかなり近い数値を保持しているので横から見た際には相対的にフロントタイヤが前へと出た印象を与えるデザインとなっている。

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<MX-7と呼びたい新型NDロードスター>
『実際の寸法よりも大きく見えるデザイン』それが新型NDデザインの狙いだ。特にフロント周りはその傾向が強く、ハイパフォーマンスカーの走りを予感させるデザインだ。フロントエアダクトは歴代ロードスターで最も開口部が大きく、左右のヘッドライト、左右のダクト(LED)に向かって放射状に広がるデザインはワイド感、ワイルド感、精悍さを強調したもので歴代ロードスターが守ってきたコンパクト感、愛らしさ、親しみ易さを持った癒しのデザインとは趣が異なると感じた。
前後のフェンダーの膨らみはストラット式サスペンションのを彷彿とさせるほど盛り上がっているが、実際にはダブルウィッシュボーン/マルチリンク式サスペンション。十分なストローク確保のためだろうか。

「ロードスターは大人っぽく、立派になったねえ。可愛い感じじゃないけどね」イベント当日、同行した私の父がふと語った一言が印象的だった(父は25年前、ロードスターを買おう!と強く私に勧めてくれた)。カーデザインは個人の趣味趣向によって大きく左右されるものであり、『そのクルマをどう着こなすか』にもかかってくるものなので一概には言えないが、私はNDロードスターのデザインから荒々しく野性的な乾いたエンジンサウンドを想像した。また腕に覚えのあるもの以外を許容しないじゃじゃ馬なハンドリングであるのではないかと感じた。それはまたハイパワースポーツの魅力であり、次はコルベットかフェアレディZなどのちょっと大人で獰猛そうなハイパフォーマンスカーを所有してみようかと思っていた私の気持ちにぴったりとくるものだ。ちょっとアメリカンなワイルドさと大人な雰囲気のNDロードスターなら『そろそろロードスターから卒業かな?』と思っていたファンも次の愛車として選択肢に入るし、これまで輸入車やフェレディZなどに乗っていたようなユーザーをも取り込むことができるかもしれないデザインなのではないだろうか。つまりこのデザインはロードスター以上RX-7未満であり、レシプロを搭載したRX-7的なクオリティとデザイン、それはもはやMX-5ではなく『MX-7』と名乗るに相応しいとさえ感じられる。

 

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リヤデザインは後方に行くほど絞り込まれたティアドロップデザイン。フロントが大きく見えるのに対してリヤはコンパクトに感じられる。デールランプは初代NAと同じ距離間に丸型を収め、それによって相対的にボディのワイド感は強調され、安定して吸い付くように走るイメージが膨らむデザインだ。実寸ではかなりあるトランクの厚みもこのデザインによってそれほど気にならない。

<なぜ2000ccのNDロードスターは販売されないのか!?>
新型NDロードスターは北米、ヨーロッパでは2000ccモデルが存在するが、日本では1500ccモデルのみが販売される。スカイアクティブ1500ccエンジンは日本では必要にして十分なパワーを持つだろう。私はこのデザインで1500ccエンジン車を購入するファンを認めるし、それで満足できるならばきっと楽しいロードスターライフが送れるであろう。しかし私がNDに乗るならば、なるべく大きな排気量のモデルを選び、可能な限りのパワーを絞り出して乗ってみたい。その方がこのNDデザインのクルマと私(クルマと人)のバランスが取れるのではないか?と今は思っている。やはり2000ccモデル、あるいはそれ以上のハイパワー、ビックトルクエンジンの登場を待ちたい。

「おいおい、ロードスターは1600ccクラスの小排気量であってこそライトウェイトスポーツだろう!出来は解っていないなあ」という方もいらっしゃるだろう。私もそう理解しているし、同意見だが、それならばボディデザインはもう少し、小さく見えるライトウェイトスポーツ(LWS)らしい、小排気量モデルを連想させるものであって欲しい。日本向けに1500専用の前後バンパーとデザインアレンジをオーダーしたい。デザインの良し悪しを語っているのではなく、バランスの問題。今のままのデザインとパッケージングは1500cc直4エンジン搭載モデルとしていささかオーバークオリティではないだろうか。

 

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MX-5  GLOBAL CUP
それを実感させてくれたのがこのMX-5グローバルカップカーの存在だ。北米マツダで発表されたこの車両はレースベース車でSKYACTIV-G 2000cc 4VALVE DOHCエンジンを搭載するマシン。レースカーとして軽量化され、その内に秘めたパフォーマンスとエクステリアデザインのバランスがとても良くマッチングしていると思う。

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レース、そしてサーキットベースで考えるとショートオーバーハングも完全フロントミドシップを目指したデザインも説得力が増す。アルミを贅沢に使った軽量化も意味をなす。レース用に不要なものが取り外され、更なる軽量化をしたこの姿。これこそ新型NDロードスターと感じるバランス感覚である。

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快適装備を外し、簡略化したカップカー仕様のベースとなるようなモデルをナンバー付きでも是非、販売して欲しい。そんなバージョンがあれば私も是非、所有してみたい。もし、今のNDプロトタイプのまま乗るのであれば2000ccのチューニングエンジンかまたは過給器や排気量アップによる更なるパフォーマンスアップこそ相応しいのではないか。私がNDロードスターのデザインに感じたのはそういう雰囲気だ。

 

自動車研究家
出来 利弘

 

NDロードスター研究 2
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2015/03/nd-2015new-nd-roadster-mx-5.php
NDロードスター研究 1
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2014/09/nd-1.php

 

 

新型NDロードスター 2015の生産開始を発表!試乗前に NDロードスターを研究 2

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マツダは新型ロードスター(ND) を2015年3月5日、生産を開始したと発表 
今年6月頃に国内での販売開始を予定しており、3月20日(金)正午からWEBによる先行商談予約を開始する。

話題の新型NDロードスターの生産が遂に開始された。それは新型ロードスターが街を走り始めるまで多くの時間を要さないことを意味する。ロードスターはオープン2シーターのFRライトウェイトという特殊で趣味性の高いスポーツカーでありながら25年、四半世紀以上に渡って販売され、高い人気を保持し続けた異例の作品である。ロードスター(MX-5)は世界中のクルマ好きに認知されているマツダの代表的なスポーツカーであり、日本が世界に誇る『名車』のひとつと言って過言ではないだろう。
今回の新型NDロードスターはその歴史と伝統をただ単に踏襲するのではなく、ドラスティックに変えることでこのライトウェイトスポーツの価値を世に問う道を選択。マツダの持てる先進技術を惜しみなく投入し、徹底的に作り込みを行った意欲作だ。

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NDは『ドライバー』を中心にクルマをデザインが進められた。これはスポーツカーのデザインとしてはとても珍しい。通常スポーツカーは走りを重視するためにメカニズム、レイアウトを優先で設計され、それに対して美しいデザインでまとめられるとドライバーのスペースや位置関係は犠牲になることが多いが、NDロードスターはそうではない。マツダが目指す理想のスポーツカードライビングポジションと空間設計が行われ、それを最新の魂動デザインでまとめ上げた。このスタイル実現へ向け、全てのメカニズム、レイアウトが創意工夫され、開発された。ワイドで迫力のあるフロント部から流れるようなラインで構成されたティアドロップ形状のフォルムはボディ後端へ向かうに従って一気に絞り込まれ、キュートでコンパクトなリヤビューの雰囲気を醸し出している。このデザインによって、空力性能の向上はもちろんのこと、幌部のドライバー頭上空間、トランクフードなどの小型軽量化も可能であろう。ボンネット左右の膨らみはインテリアのカラードアトリム上部へと繋げるなどオープンカーならではのデザイン手法を各部に取り入れた。
前後のオーバーハングは可能な限り短く切り詰められ、上方、側面、斜めとどの角度から観ても台形フォルムとなる絞り込みによって、安定感のあるスポーツカーらしいフォルムを実現している。

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インテリアデザインは『ドライバーを中心に左右完全対称デザイン』となっており、左右の丸形エアコンルーバーでそれを強調する。タコメーターは歴代で初めてセンターに配置され、スポーツ性を強調。ステアリングのエアバックは世界最小の新デザイン。マツダコネクトは上級モデルに装着。マツダの持つ上質なインテリア加飾が全て投入されている。それはアルミ調パネル、カーボン調パネル、ピアノブラック、シルバーメッキ、本革、ステッチ入りソフトレザーパッド、ボディ同色パネル、シボ入りプラスティックパネルと実に8種類に及ぶ。
ドライビングポジションはとても自然なペダルレイアウト、ステアリングセンターと先代から更に下がった着座位置となり、長身のドライバーでも苦にならない空間作りがなされている。また写真のように着座位置からはボンネット左右の膨らみが見られる。

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 3次元の複雑なラインを描くNDロードスターの前後のフェンダー

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ワイド&ローを強調したデザインのフロントマスク。ノーズの先端は低く、スポーツカーらしい鋭く野性的な表情となった。超小型LEDヘッドライトの採用によって短いオーバーハング内にライトを収めた。

 

新型NDロードスターのサイズは全長3915mm × 全幅1730mm × 全高1235mm 、ホイールベース2315mmと発表されている。これは歴代ロードスターで全長が最も短く、全幅は最も広い。ホイールベースは僅かに短縮されているが、トレッド&ホイールベースの比率はNCロードスターのそれに近く、少しワイド&ショートというものだ。全長の短縮の多くはオーバーハングの切り詰めによるもので、新型モデルがダウンサイジングを行うのはとても珍しく、マツダがロードスターのデザインと走りに賭ける拘りと情熱が伝わってくる。
サスペンション形式はフロントはダブルウィッシュボーン、リヤはマルチリンクを踏襲。シャシースペックはNCに近いが全てが新設計とされ、軽量化と性能追求に拘っている。

 

新型ロードスター生産開始のリリース
http://www2.mazda.com/ja/publicity/release/2015/201503/150305b.html

マツダ、新型「マツダ ロードスター」の生産を開始

 

 

 マツダ株式会社(以下、マツダ)は本日、本社宇品第1(U1)工場で2シーターのライトウェイトオープンスポーツカー 新型「マツダ ロードスター(海外名:Mazda MX-5)」の生産を開始しました。このたび生産を開始した新型「ロードスター」は日本向けです。今年6月頃に国内での販売開始を予定しており、3月20日(金)正午からWEBによる先行商談予約を開始いたします。また、海外市場への導入は、日本に続いて順次行う予定です。

 

新型「マツダ ロードスター」の量産第一号車(日本仕様車)
新型「マツダ ロードスター」の量産第一号車(日本仕様車)

 

 「ロードスター」は、「走る歓び」を追求するマツダのクルマづくりを象徴する商品です。2015年1月末までに累計生産台数は95万台を超え、「2人乗りスポーツカー販売台数世界一」のギネス認定記録を現在も更新し続けています。

 

 4代目となる新型「ロードスター」は、年々高まる環境・安全性能への要求に応えつつ「Fun(楽しさ)」を継承するために、「守るために変えていく」をキーワードに開発されました。「SKYACTIV技術」とデザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」の採用に加え、「人がクルマを楽しむ感覚」の向上に注力しています。

 

 今後もマツダは、高品質なクルマづくりを含め、お客さまとの様々な接点を通じて、お客さまの人生をより豊かにし、お客さまとの間に特別な絆を持ったブランドになることを目指してまいります。

 

■新型「マツダ ロードスター」先行商談予約に関するニュースリリース

http://www2.mazda.com/ja/publicity/release/2015/201502/150205a.html

 

■新型「マツダ ロードスター」プレサイト

http://www.roadster.mazda.co.jp/pre/

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エンジンは1.5ℓ SKYACTIV-G 直噴ガソリンエンジンをフロントミドシップに搭載。ライトウェイトスポーツカーらしい走りを目指し、エンジン内部に改良を加えている。

新型NDロードスターは現代の安全性能、環境性能などの条件の中、新時代のスポーツカーを提案するマツダの意欲作だ。最先端の軽量化技術、シュミレーション技術を駆使して開発され、理想のライトウェイトスポーツカーの楽しさを目指している。歴代ロードスターは熟成されたエンジンを搭載していたが、今回のNDは最新SKYACTIVエンジンを更に改良した最新エンジンを搭載いている。直噴高圧縮エンジン、アイドリングストップ機構など現代に求められる燃費性能をクリアしていることは容易に想像できる。アルミを多用したボディ&シャシーによる軽量化は1000kgを切る車重を目指して開発されている。軽量化は運動性能と実用燃費の両面で有利に働く。

待ちに待った(待たされた)新型NDロードスターだが、歴代ロードスターで最もコストをかけ、最も走って熟成されたというその走りがどんなものなのか!? 市販バージョンのNDロードスターのステアリングを握れる日まであと少しだ。

自動車研究家
出来 利弘

9月4日 NDロードスター研究1
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2014/09/nd-1.php
 

初代ユーノスロードスター(NA)発表時を振り返る

ダイレクト感とシンプルさが魅力の初代

1989年に登場した初代ユーノスロードスター(NA)のコンセプトは単純明快。『見て楽しく、乗って楽しく、さらに操る楽しさのあるクルマ』と開発主査である平井敏彦氏は語った。そのためにFRオープン2シーターをきちんと作る!必要のないものは削ぎ落とし、クルマの本質を磨き上げていく。どう実現すれば良いかをデザイナーはじめみんなで話合い、『デザインよりもレイアウトを優先する』設計思想で開発。欲をかかず、大切にしたのは4つのみ、『タイト感』『ダイレクト感』『走り感』そして『ドライバーとクルマとのコミュニケーション』の追求であった。

市場の声を取り入れるマーケティングリサーチを一切行わない開発姿勢がシンプルで骨太なライトウェイトスポーツカーを生み出し、発売直後から老若男女問わず、世界中で一躍大人気となった。

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エクステリアデザインはシンプルで可愛らしさと格好良さをが半々なイメージ。マイカ、メタリック全盛の時代であったが、赤、青、黄色などソリッドカラーもよく似合う。
インテリアデザインは簡潔で無駄のない日本の『茶室』に通づる『マイナスの美』と呼ばれる日本の美学だ。

走りはもちろん、雨漏りの心配なく、手軽に手頃な金額で楽しめるオープンカーとしてもこの初代ユーノスロードスターが果たした役割は大きい。ビニール幌仕様のみでオプションでDHT(デタッチャブルハードトップ)が用意されていた。

 

カスタマイズの大きな可能性を感じるクルマ

『開発者たち自らが買いたいクルマ』だからコストを下げたい。当初より100万円台の車両価格設定を狙っていたためインテリアはかなり安く仕立てられていた。それでもエンジンはファミリア流用とはいえ、4バルブ DOHCの1600ccで120PS、4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、P.P.F.(パワープラントフレーム)の採用など基本性能に関わる部分はしっかりと作られ、ベース車で170万円(税別)を実現していた。これらサスペンション関係のアイデアは後に開発主査となる貴島孝雄氏によるもの。

初代ユーノスロードスター(NA)発売時のラインナップはとてもシンプルだ。エンジンはDOHC1600ccのB6で5MTのみ、ベース車とスペシャルパッケージ車(パワーステアリング、パワーウインド、MOMO製ステアリング、14インチアルミホイール付きで185万円)だった。後にAT、本革シートとタンの内装のVスペシャル、スポーツ装備を標準化したSスペシャル、様々な限定車など追加されて行くが、最初にいきなり多数のグレードが用意されていなかったことで『シンプルで明快なコンセプト』がストレートに伝わった。

ユーノスの走りは、可変吸気機構を一切持たない素直にレスポンスするDOHCエンジンと少しショートで最適なギヤレシオで持ち良い走りのリズム感があった。剛性感の高いブレーキで荷重移動は容易。これまたレスポンスに優れるステアリングを切れば、それまで多くの国産スポーツでは体感できなかったクイックな回頭性を示し、全幅1670mmというコンパクトなボディと相まってワインディングを『これぞライトウェイトFRスポーツ!』という走りで、いつまでも走っていたくなる衝動に駆られた。この走りの味付けは、往年のブリディッシュライトウェイトスポーツカーにも精通し、後にM2 1001も開発する立花啓毅氏を中心とする実研部メンバーによってセッティングされた。

『使い手が考え、それぞれの使い方をする』
安価でシンプルであるが故に。ユーザーが購入後に自分の個性を自由自在に表現したユーノスロードスターを多く見かけらるようになり、街の景色は活気に満ちていた。その存在はハイクオリティデザイン指向に走っていた1989年前後のスポーツカー達とは一線を画すもの。「もし私がユーノスを買ったら、サスペンションをどれにしようか、シートは?ハンドルは?」と妄想が膨らんだ。ユーノスファン達は皆、このクルマをドライブしていない時でさえも日常を忘れ、自分のクルマのカスタマイズ妄想してワクワク、その新鮮な感覚に夢中となった。

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写真はMX-5 MIata登場時にいきなりアメリカで展示され、衝撃をあたえてCLUB RACER。
ラインナップにないイエローのボディカラーとワイドボディ、インチアップ&ローダウン、エアロパーツ、小型ドアミラー、トノカバー、固定式ライトなど、このクルマがいかに自由で大きな可能性を秘めているのかを上手く表現していた。このようにアメリカ風の他にもイギリス風、イタリア風、旧車風、などなど安価でシンプルであるため様々な仕様にカスタマイズが可能だった。

 

自動車研究家
出来 利弘


 

 

新型デミオが2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞

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新型デミオが『2014-2015 日本カー・オブ・ザ・イヤー』を受賞した。
『コンパクトカーの常識を打ち破る』をコンセプトに妥協のない内外装のデザイン、妥協のない走りの性能の追求を行ったモデルだ。

最も注目は1.5ℓのディーゼルターボエンジン。ビックトルクによる余裕の走りと燃費性能を両立。5ナンバーコンパクトとは思えない長距離ドライブでの快適性能、魂動デザインによる躍動的なフォルム、センターメーター、ソフトパッドなどを使用した質感の高いインテリアデザインなどこれまでコンパクトカーで妥協されてきた性能、デザイン、質感が盛り込まれている。
それら全てを装備したグレードでも200万円を切る価格設定など、とても魅力的だ。20141013153758.JPG

 

CX-5、アテンザ、アクセラとマツダは3連続ヒットを飛ばし、好調をアピールしてきたマツダだが、この3兄弟はいずれも3ナンバーで大きめのサイズ。注目の2.2ℓディーゼルターボのモデルは実質300万円クラスだったので、ボディサイズと価格の問題から購入を諦めていたユーザーも多いはず。そういった意味では5ナンバーサイズ、200万円以下のデミオが『初めて購入検討できる新しいマツダ車』というユーザーも多いのではないか。日本のユーザーに求められていたところにピンポイントで投入された商品。SKYACTIVテクノロジーを投入し、エコと走りの楽しさの両立を目指すマツダ車の躍進はこれからなのかもしれない。
デミオの2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞が『国産プレミアムコンパクト』のライバルを多数生み出すきっかけとなるのか!?今後のコンパクトカーの動きから目が離せない。

 

自動車研究家 
出来 利弘

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