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NDロードスター NR-A 試乗 インプレッション『NDロードスターの本命登場!』

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新型NDロードスターNR-Aに試乗した。
(写真はNR-Aレースバージョン アークティックホワイト。ロールバー(14万9040円)、ロールバープロテクター(7992円)、けん引フック(前後各1万800円)、
ブリッド製バケットシートはオプション)

2015年5月にNDロードスター試乗記『ND新時代の到来』を書いてから4ヶ月。9月のメディア4耐レース会場で早くもNR-Aグレード追加の発表と展示があり、マツダロードスターND NR-Aを研究するを書いた。

 

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新型ND マツダロードスター NR-A(1010kg)  6MT ジェットブラックマイカ 
車両本体価格 264万6000円(税抜き245万円)

10月22日に正式発売となったNR-Aの市販バージョンを箱根のワインディングで試乗する機会を得た。
 

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NDプロトタイプに近い低めの車高にシルバーホイールが爽やかなNR-Aのサイドビュー。ボディカラーがブラックのため、ブラックアウトされたピラー、ミラー、ハイマウントストップランプカバーは目立たない。
NR-Aはビルシュタイン社製Cリング車高調整機能付きスポーツタイプダンパーを装備しており、スポーツサスペンションでバネレートもアップ。
写真の試乗車は車高を一番下まで下げた状態(約20mmダウン程度)にセッティング済み。

 

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早速NR-Aのコクピットに乗り込む。試乗車はオプションのアルカンターラが各部に張り込まれていたが、ステアリングスイッチを持たないシンプルな本革ステアリング&ウレタンシフトノブ、ブラックで統一されたエアコンリング、ドアの内側ボディ同色部もブラックのため、落ち着いた大人の雰囲気に癒される。

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ファブリックシートはS、Sスペシャルパッケージと同じもの着座位置は低めで座り心地も良好。シートの適度な質感とインパネ周りの質感に統一感があり、ロードスターらしく、ライトウェイトFRスポーツらしい

 

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ドアパネルにもオプションのアルカンターラが張られている。ノーマルはレザーステッチ入りで、プレミアムなデザイン。

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NR-Aは光りすぎないシルバーのインナードアハンドル

 

 

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セグメント液晶オーディオ ディスプレイ
AM / FMラジオ & 4スピーカーが標準装備
 

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ピアノブラックのエアコンリング

 

 

 

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標準装備マニュアルエアコン。調整リングはブラック。
エンジンスタートボタンリングもブラックだ。
USB端子、AUXミニジャックを装備。未使用時にカバー可能

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シフトブーツリング加飾は控え目なシルバー。
ウレタン製シフトノブ&サイドブレーキグリップ。
キーレスを置くのにちょうどよいBOX。
アルカンターラ・サイドブレーキブーツはオプション

 

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6MTのシフトパターンが刻まれたウレタンシフトノブ
自分の好みのシフトノブへと交換するイメージが膨らむ

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ND全車と共通の3つ目デザインメーターはセンターに回転計
MID表示は走行可能距離のみ表示。燃費計は省略

 
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細身の本革巻ステアリングは質感が高い
シンプルなステアリングスイッチのない3本スポーク形状

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握りは親指を添える部分のフィット感がいい
ステアリングベゼルは反射を抑えたシルバー

 

 

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オプションのアルカンターラは下部まで張り込まれる。
助手席の右足奥部にシガー電源ソケットが隠されている!
NDは全車グローブBOXを持たない

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オプションのアルカンターラは
センターコンソールBOXリッドにも張られる

 

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NR-Aはハイマウントストップランプカバーがブラック
NBは全車Aピラー、ドアミラーもブラックだが
試乗車はボディカラーもブラックだったので目立たない

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ファブリックシートの質感は価格に見合ったもの
ワインディングを楽しむ、半日ドライブでは問題ない
スポーツ走行を重視するならよりホットなモデルへ要交換

 

 

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左側がNR-Aで車高を下げた状態。
右側がS。車高の違いは20mm程度か

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右側がNR-Aで車高を下げた状態。
左側がS。車高の違いは20mm程度か

 

 

 

 

 

 

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<やっとしっくり来るNDロードスターに出会えた>

NR-Aは走り出して、第一印象がとても良かった。全域に渡ってこれまでのNDとは異なり、ワンランク上のダイレクト感ある走りを実感できた。ギヤをローに入れて、スタートした瞬間から駆動の伝わり方が気持ち良い。ギヤをシフトアップして加速すれば軽快かつダイレクトな走り感だ。シャシーはソリッドな感覚でステアリングを切ればこれまでのRS、Sスペシャルパッケージ、Sなどとは別次元のシャープな回答性が得られる。やっと歴代モデルに通づるロードスターらしい走りをNDで感じられた。これならばNDを買いたいという従来型のオーナーにもオススメできる。
乗り心地はNR-Aだからといって決してハードなものではなく、『これが標準モデルでよいのでは?』と思うほどだ。段差を乗り越えても瞬時に衝撃を吸収し、フラットな姿勢を保つシャシーのセッティングは絶妙だ。ダンパーのフリクションも感じられないし、NB、NCのNR-Aモデルより良い乗り心地だ。箱根を1日中走っても乗っても筆者にとっては『大きな突き上げ』は感じられなかった。助手席でも『ワクワクする走りの楽しさ』を感じられ、長時間、快適に過ごせたのも印象的だった。FRスポーツ、オープンスポーツを気軽に楽しむ車として、また通勤など日常の足としても最適だと感じられた。
NR-AをNDロードスターのスタンダードと捉えるとそれ以外のNDはホイールベースが長い、2+2のスペシャルティカーだったのではないか?と思えるほど差が大きい。誰にでも扱い易いようにと施されたセッティングだったのかもしれないが、スポーツカーを名乗るのであれば、このNR-Aレベルの機敏さをスタンダードセッティングとし、スポーツモデルには更にスポーティさを求めたいと感じるほどだが、そこはアフターパーツ、チューニングの世界となるのか

 

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<人馬一体の領域に入ったハンドリング>
NR-Aのハンドリングは自然なものとなった。ステアリングを切り込めば素直に反応し、ターンインを始める。クリッピングポイント(イン側によるところ)にスッと狙い通りのラインと姿勢で持っていける。立ち上がりはステアリングを戻しながら、加速。リヤタイヤのグリップ感を確かめながらアクセルを踏み込んでいく。そんな普通の走り、あるいはスポーツドライビングがごくごく自然に行える。

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これまでのND(RSも)はコーナー入り口で拳ひとつ分くらいステアリングを切り始めても反応が鈍く、遅れてゆるりとコーナリングを始め、コーナー出口でステアリングを戻しきれないままアウト側まででていき、直線に入ってからステアリングをまっすぐに戻すような動き、すべてがオブラートに包まれ、節度ないハンドリングだった。クリッピングポイントではスポーツカーとしては蛇角もロールも大きく、ブッシュが動くのか、ムズムズとトー変化が大きかった。『乗り心地重視でノーマルだから仕方ないか』と思う一方、リヤの接地圧が路面と関係なく一定しない違和感は拭えなかった。直進安定性が低かったことも大いに不満だった。

 

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ところがNR-Aは違う!高速走行でもしっかり真っ直ぐ走る直進安定性がある。だからコーナーリングもピタリと決まる。スポーツカーというか、クルマにとって非常に重要な基本性能をしっかりと見直ししてきたことがハッキリと感じられる。

ブレーキもいい!効きも良いし、踏み加え、抜きのコントロール性も向上した。

 

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 冷却フィン付きデフケース、強化トルセンLSD、ビルシュタインCリング車高調整式スポーツダンパー

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 大容量ラジエターでスポーツ走行時の冷却性能アップ。フロント サスタワーバー、トンネルブレースバーでボディ補強

<すべてが見直されたNR-Aのメカニズム>
どうしてこれほどまでにNR-Aは進化したのか?
私が大きく進化を感じたのはボディのしっかり感。サスペンションのしっかり感、駆動系のしっかり感だ。
つまりNDはNR-A登場から、全体的に『とてもしっかりとしたクルマ』になった。
まずボディがいい。ボディ補強としてフロント サスタワーバー(ストラットタワーバー、エンジンルーム内のV字型のバー)、トンネルブレースバー(ロワアームバー、フロア下側から見た部分のバー)などが入り、しっかり感が増している。これらは重量増となるが、NR-Aは余計な豪華装備は省かれているので、1010kgと軽量だ。大径ブレーキまで奢って、この重量は立派なものだ。これらの補強によってボディがしっかりしたことでサスペンションがとてもスムーズに動いている。NR-Aはバネレートも上がっているがむしろSスペシャルパッケージより柔らかくしなやかに感じるほどだ。ND発売から僅か5ヶ月でこの改良はこれまでにロードスターを買ったオーナーはかなり悔しいと思われるが、この補強とNR-Aサスキットの装着は流用候補のひとつとして注目だ。
そしてもうひとつ、NR-Aは電動パワーステアリングのセッティングが異なり、よりシャープなものとなっている。この効果も大きい。これも是非、他のモデルにも流用してほしいものだ。

そして駆動系のしっかり感。これはNR-Aが輸出用2.0リットルモデルのものと思われる強化ドライブシャフト&プロペラシャフト、強化トルセンデフ、強化P.P.F(パワープラントフレーム)を採用していることに起因すると思われる。
『そんな僅かな違いがわかるはずもない』と思っていたのだが、RSやSなどと再度乗り比べてみてもこのNR-A試乗車の『駆動系の硬質感』は感じられた。シフトフィールも心なしかカッチリ感が増したように思われた。これだけ質感の高い走りなら、他のモデルにも是非、拡大採用してほしい。

 

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<NR-Aが見せたND熟成の可能性>
NR-AはFRスポーツカーとして、ロードスターをこよなく愛してきたユーザーに『これぞロードスターだ!』と思わせる資質をもったモデルだ。『やっと納得のいくNDロードスターに出会えた』という人もきっと増えるに違いない。
NR-Aは来年度から始まるパーティレースIIIをはじめ、数多くのワンメイクレースなどで活躍する予定だ。イコールコンディションで展開されるレースだけに初期モデルのNR-Aのセッティングレベルには注目していたが、完璧とは言えないまでもひとまず納得いく走りにまとまっていたことにホッとした。このセッティングなら、FRスポーツカーとして、昔からのロードスターファンでも納得するだろう。
しかし、エンジンのアクセルに対するレスポンス遅れだけはまだ残っており、特に街中でよく使用する4000回転以下でのアクセルの『ツキ』と回転落ちに不満が残る。まだまだ熟成してほしいポイントだ。
NR-Aの登場によって、これまでのNDもチューニング次第ではNR-Aに近いシャープな走りを楽しめるであろうことが解った。NDは後退したドライビングポジションや電動パワーステアリングの全車採用など、これまでのロードスターと異なるフィーリングを感じ、歴代ロードスターのように後からのチューニングでは補いきれない部分があるのではないか!?と不安があったが、『チューング次第ではいい車に育つ』ということが今回の試乗で実感出来た。

『NDロードスターをどう育てていくのか!?』
『育てる』とうのはお金をかければよいなど、過保護に甘やかすことが必ずしも良い結果をもたらすことではないのは人もクルマも同じであろう。これから10年、20年、それ以上とロードスターあるいはライトウェイトFRスポーツが生きていくために、何が必要なのだろうか。やはりそれは『基本に忠実な走りとクルマ作り』これにつきると思う。
もし、マツダがその道から外れそうになった時には、時に厳しく、ロードスターに対して率直な意見を述べることも必要だということを我々ユーザーも忘れてはならない。

『ロードスターの未来は世界のライトウェイトFRスポーツの未来に大きな影響を与える』
ちょっと大げさかもしれないが、ロードスターとはそういったベンチマークとなる立ち位置にいるクルマ。
世界に誇るべき『日本の宝』のひとつなのだ。

 

自動車研究家
出来利弘

 

NDロードスター研究
2015年3月 NDロードスタープロトタイプ試乗
2015年5月 
NDロードスター試乗記『ND新時代の到来』
2015年9月 マツダロードスターND NR-Aを研究する

MAZDA ROADSTER NR-A 公式サイト:http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/nr-a/
MAZDA ROADSTER PARTY RACE 公式サイト:http://www.party-race.com

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