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6F クルマ研究 / 試乗レポート

NDのデザインを研究する NDロードスター研究 3

 

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<FRはハイパフォーマンスカー的なデザイン>
9月4日舞浜でNDロードスターのデザイン発表会で私たちの前に姿を現した時、先入観なく、直感的に感じたものは『ビックトルク、ハイパフォーマンスカー』のエクステリアデザインというものだった。野獣が今にも獲物に飛びかかりそうなデザイン。躍動的であり、新しい魂動デザインの方向性を示すものであると感じた。同時に『あのボンネットの長さ、厚さならエンジンは直6エンジン?いやいやV6 3000ccくらいか!? いやそんなはずはないから、直4 2000ccエンジンで200PS以上か!?』とも感じた。ロングノーズ&ショートデッキはハイパフォーマンスカーの象徴だからだ。魂動デザインは特にアテンザ以降、Aピラーを後方へと引き、FF車にFR的なプロポーションを与えることで斬新さとスポーティさを演出し、それが『新しいマツダデザイン』として市場から支持を得てきた。今回はどんな提案で来るのか注目される中、FR車であるロードスターも更にAピラー70mm後退させるデザインコンセプトへ変更し、それはハイパワーFRマシンを彷彿とさせるデザインとなった。それは同時にライトウェイトFRの王道を行くロードスターのドライビングポジションとの決別をも意味する。ドライビングポジションは約50mm後退した。これは歴代ロードスター初の試みで新型NDロードスターのデザイン、そして走りをひも解く際の大きなポイントとなる。新しいロードスターのデザインはこれまでのNCまでのものから大きく路線変更した。

プロトタイプ車のホイールベース(-15mm)はNC比較でかなり近い数値を保持しているので横から見た際には相対的にフロントタイヤが前へと出た印象を与えるデザインとなっている。

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<MX-7と呼びたい新型NDロードスター>
『実際の寸法よりも大きく見えるデザイン』それが新型NDデザインの狙いだ。特にフロント周りはその傾向が強く、ハイパフォーマンスカーの走りを予感させるデザインだ。フロントエアダクトは歴代ロードスターで最も開口部が大きく、左右のヘッドライト、左右のダクト(LED)に向かって放射状に広がるデザインはワイド感、ワイルド感、精悍さを強調したもので歴代ロードスターが守ってきたコンパクト感、愛らしさ、親しみ易さを持った癒しのデザインとは趣が異なると感じた。
前後のフェンダーの膨らみはストラット式サスペンションのを彷彿とさせるほど盛り上がっているが、実際にはダブルウィッシュボーン/マルチリンク式サスペンション。十分なストローク確保のためだろうか。

「ロードスターは大人っぽく、立派になったねえ。可愛い感じじゃないけどね」イベント当日、同行した私の父がふと語った一言が印象的だった(父は25年前、ロードスターを買おう!と強く私に勧めてくれた)。カーデザインは個人の趣味趣向によって大きく左右されるものであり、『そのクルマをどう着こなすか』にもかかってくるものなので一概には言えないが、私はNDロードスターのデザインから荒々しく野性的な乾いたエンジンサウンドを想像した。また腕に覚えのあるもの以外を許容しないじゃじゃ馬なハンドリングであるのではないかと感じた。それはまたハイパワースポーツの魅力であり、次はコルベットかフェアレディZなどのちょっと大人で獰猛そうなハイパフォーマンスカーを所有してみようかと思っていた私の気持ちにぴったりとくるものだ。ちょっとアメリカンなワイルドさと大人な雰囲気のNDロードスターなら『そろそろロードスターから卒業かな?』と思っていたファンも次の愛車として選択肢に入るし、これまで輸入車やフェレディZなどに乗っていたようなユーザーをも取り込むことができるかもしれないデザインなのではないだろうか。つまりこのデザインはロードスター以上RX-7未満であり、レシプロを搭載したRX-7的なクオリティとデザイン、それはもはやMX-5ではなく『MX-7』と名乗るに相応しいとさえ感じられる。

 

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リヤデザインは後方に行くほど絞り込まれたティアドロップデザイン。フロントが大きく見えるのに対してリヤはコンパクトに感じられる。デールランプは初代NAと同じ距離間に丸型を収め、それによって相対的にボディのワイド感は強調され、安定して吸い付くように走るイメージが膨らむデザインだ。実寸ではかなりあるトランクの厚みもこのデザインによってそれほど気にならない。

<なぜ2000ccのNDロードスターは販売されないのか!?>
新型NDロードスターは北米、ヨーロッパでは2000ccモデルが存在するが、日本では1500ccモデルのみが販売される。スカイアクティブ1500ccエンジンは日本では必要にして十分なパワーを持つだろう。私はこのデザインで1500ccエンジン車を購入するファンを認めるし、それで満足できるならばきっと楽しいロードスターライフが送れるであろう。しかし私がNDに乗るならば、なるべく大きな排気量のモデルを選び、可能な限りのパワーを絞り出して乗ってみたい。その方がこのNDデザインのクルマと私(クルマと人)のバランスが取れるのではないか?と今は思っている。やはり2000ccモデル、あるいはそれ以上のハイパワー、ビックトルクエンジンの登場を待ちたい。

「おいおい、ロードスターは1600ccクラスの小排気量であってこそライトウェイトスポーツだろう!出来は解っていないなあ」という方もいらっしゃるだろう。私もそう理解しているし、同意見だが、それならばボディデザインはもう少し、小さく見えるライトウェイトスポーツ(LWS)らしい、小排気量モデルを連想させるものであって欲しい。日本向けに1500専用の前後バンパーとデザインアレンジをオーダーしたい。デザインの良し悪しを語っているのではなく、バランスの問題。今のままのデザインとパッケージングは1500cc直4エンジン搭載モデルとしていささかオーバークオリティではないだろうか。

 

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MX-5  GLOBAL CUP
それを実感させてくれたのがこのMX-5グローバルカップカーの存在だ。北米マツダで発表されたこの車両はレースベース車でSKYACTIV-G 2000cc 4VALVE DOHCエンジンを搭載するマシン。レースカーとして軽量化され、その内に秘めたパフォーマンスとエクステリアデザインのバランスがとても良くマッチングしていると思う。

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レース、そしてサーキットベースで考えるとショートオーバーハングも完全フロントミドシップを目指したデザインも説得力が増す。アルミを贅沢に使った軽量化も意味をなす。レース用に不要なものが取り外され、更なる軽量化をしたこの姿。これこそ新型NDロードスターと感じるバランス感覚である。

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快適装備を外し、簡略化したカップカー仕様のベースとなるようなモデルをナンバー付きでも是非、販売して欲しい。そんなバージョンがあれば私も是非、所有してみたい。もし、今のNDプロトタイプのまま乗るのであれば2000ccのチューニングエンジンかまたは過給器や排気量アップによる更なるパフォーマンスアップこそ相応しいのではないか。私がNDロードスターのデザインに感じたのはそういう雰囲気だ。

 

自動車研究家
出来 利弘

 

NDロードスター研究 2
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2015/03/nd-2015new-nd-roadster-mx-5.php
NDロードスター研究 1
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2014/09/nd-1.php

 

 

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